米Intelは8月30日、社内のIT部門の取り組みをまとめた報告書「2004年版 ITアニュアル・パフォーマンス・レポート」(英語版)を発表した。同社は、IT部門は会社に10億ドル(約1100億円)の価値をもたらしたとしている。
- 「リスクをゼロにすることはできない」という情報セキュリティディレクタのマルコム・ホーキンス氏(Malcolm Harkins、左)と海老澤正男・情報システム部部長
同報告書は、IT部門が1年間でどんな取り組みをして、Intel全体にどのような成果をもたらしたかをまとめたものだ。報告書の内容を説明した日本法人インテルの海老澤正男・情報システム部部長は「10億ドルという数字は、IT化で削減できた人件費や収益が向上した分などを独自の測定プログラムで計算したもの」と説明する。
同社はIT投資の最終的な収支を明確にするため、情報システムによって実現された価値を測定する「ビジネス・バリュー・インデックス」(BVI)と呼ばれるプログラムを開発。BVIによって算出されたビジネス上の価値が10億ドルになるとしている。
Intelは現在、57ヶ国124拠点に約12万4000人の従業員を抱えている。同社のIT部門は27ヶ国79拠点で約9400人となっている。IT部門が管理するサーバは6万6300を超え、収容されているデータは3.2ペタバイトになり、IT部門の技術者1人当たりでおよそ488台のサーバをサポートしているという。
社内のERP(統合業務)システムのトランザクションは1日当たり250万、電子メールは1ヶ月間で4000万になるという。また、社内のネットワークを流れる情報量は1日当たり平均200テラバイトという。
同社IT部門は2004年に、経理・人事システムを同社の64ビットマイクロプロセッサ「Itanium 2」上に移行させて処理能力を増強。中国での新規工場立ち上げも支援している。また、社内のエンドユーザーに対するITサービスと業務プロセスを改善することで、ITコストを2003年より15%削減することに成功している。現在、Intelは2009年までに社員の生産性を1週間当たり1日分向上させることを目標としているという。
またIntelの情報セキュリティ担当ディレクタであるマルコム・ホーキンス(Malcolm Harkins)氏は、情報セキュリティへの取り組みについても説明した。同社は2004年に、セキュリティを向上させるため、外部からの法令順守(コンプライアンス)監査を実施し、内部の監査は全世界で9万回以上を行ったと説明している。
ホーキンス氏は、「ITに関連したリスクをゼロにすることはできない」と前置きし、「それでもコンプライアンスを維持しつつ、業務の生産性を高めるためには、コストをかけてリスク管理をしていかなければならない」と説明している。
同社のITアニュアル・パフォーマンス・レポートは2001年版から発行されており、一般企業のIT部門の参考になることを目指している。日本語版は9月にも公開されるという。