「これまでの延長線上にあるもの」――米BEA SystemsのCTOが語るSOA戦略

山下竜大(編集部) 2005年09月29日 12時16分

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 米BEA Systemsがサンタクララコンベンションセンターにおいて開催しているユーザーカンファレンス「BEA World 2005」では、同社のキャッチフレーズである“Think Liquid.”(流動的に考えよう)に基づくSOA戦略が紹介された。BEA Worldで発表されたSOA戦略の背景には同社のどのような思惑があるのか、またTPモニター製品であるTuxedoの今後や、買収した米Plumtree Software製品の統合などに関して、米BEA SystemsのCTOであるMark Carges氏に話を聞いた。

「SOAの成功はITとビジネスの連携」と語るCarges氏

―― BEA World 2005の基調講演でCEOのAlfred Chuang氏が4つの職種に分けてSOA戦略を話していました。このような職種ごとの戦略を語るようになったきっかけはどのようなものなのでしょう。

 特に何かのきっかけがあって変わったというわけではありません。これまでやってきたSOA(サービス指向アーキテクチャ)戦略を拡大したものです。これまでBEAは、特に開発者にフォーカスした戦略を展開してきました。WebLogicやTuxedoなどの製品に関しては、開発者向けの戦略を引き続き強化して行きますが、AquaLogicのような製品ではマネージャーレベルまで戦略を拡大する必要があります。

―― 確かにSOAを語るには、経営者向け、ITアーキテクト向け、開発者向け、ITマネージャー向けなど、それぞれにあった効果を説明しないと、焦点がぼやけてしまい、理解しにくくなってしまいますね。

 そのとおりですね。明日(9月28日)行う私の基調講演では、SOAドメインモデルという話を紹介する予定です。SOAドメインモデルという考え方では、SOA実現のためのいくつかのポイントを紹介します。まず、テクノロジーとアーキテクチャの観点なのですが、SOAはそれだけでは実現できません。そのほかに予算や資金、ガバナンス、組織などのビジネスの観点から考慮すべき問題が数多くあります。

 テクノロジーの観点とビジネスの観点の両方が、同時に進行しないと効果的なSOAを実現することはできないのです。どちらかだけが進んでしまうと必ず失敗してしまいます。関連するSOAのドメインがすべて形成されることが重要なのです。

―― テクノロジーの観点でBEAが支援できるのはWebLogicやAquaLogicなどが中心になるのでしょうが、ビジネスの観点でBEAが顧客を支援できるのはどのようなことなのでしょう。

 BEAには、顧客のSOA実現をサポートするコンサルティングの組織があります。この組織では、顧客のSOA準備度を診断する「SOAスタートアップ評価」や、これまで顧客のSOA実現で培ってきたノウハウを体系化したベストプラクティスを提供しています。また、BEAのパートナー企業である多くのコンサルティング会社が、SOA実現に必要な組織の再編やガバナンスの策定などの支援を行っています。

 基本的には、AquaLogicやWebLogicなどの製品群やSOAスタートアップ評価などのコンサルティングなど、BEAが提供できるコアコンピタンスな部分については、われわれが提供します。そのほかの部分については、パートナー企業と協力して顧客のSOA実現を推進することになります。しかしSOA実現で最も重要なのは、顧客自身がSOAに対する青写真をしっかりと描いていることなのです。

―― 最近、AquaLogicやWebLogicの話はよく耳にしますが、Tuxedoの話を聞く機会が少なくなりました。Tuxedoの現状と今後の計画について聞かせてもらえますか。

 Tuxedoは、すでに20年の実績を持つ成熟した製品です。人間なら、お酒を飲んでもいい立派な大人です(笑)。常にレガシーシステムに近い部分や、レガシーシステムとオープンシステムを統合するミッションクリティカルな分野で採用されています。

 今日の基調講演でCEOのAlfred(Chuang)がTuxedoを使用した最新の事例を紹介しました。中国のクレジットカード会社であるチャイナ・ユニオンペイのトランザクション処理の事例です。2005年7月に最新版であるBEA Tuxedo 9.0をリリースしましたが、今後も2年に1度程度の機能強化を考えています。最初にもお話したとおり、Tuxedoは実績のある製品なので、頻繁に機能強化する必要なないのです。

 Tuxedoにおける機能強化では、XMLをベースとしたWebサービス機能の強化が挙げられます。これによりTuxedoを使用したアプリケーションを、SOA対応の一部として使用することが可能になります。

―― 2005年8月に、米Plumtree Softwareを買収しましたが、BEAはもともとWebLogic Portalを持っていました。今後、2つの製品をどのように統合していくのでしょう。

 WebLogic Portalは、WebLogic Serverを中核に、より緊密にバックエンドのトランザクションと連携することが可能です。すでにエンジニアリング向けのコラボレーション環境として数多くの導入実績を持っています。

 一方、Plumtreeのポータル製品は、ナレッジマネージメントやシングルサインオン(SSO)環境、さまざまなアプリケーションなど、よりフロントエンドに近い部分での連携にフォーカスしています。対象ユーザーとしては、ホワイトカラーの生産性を向上するためのコラボレーション環境として多くの導入実績があります。

 このように、フォーカスする機能や対象ユーザーがまったく違うことから、BEAのポータル製品とPlumtreeのポータル製品は、相互に補完することができるのです。また、WebLogic Portalは、Javaテクノロジーにフォーカスしていますが、PlumtreeはJavaだけでなく、.NET環境もサポートしています。ポータル環境で、Javaと.NETの両方をサポートできるのは、現在ではBEAだけなのです。

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