SAPジャパンは10月6日、同社が推進するサービス指向アーキテクチャ「ESA(エンタープライズ・サービス・アーキテクチャ)」を日本市場において、より一層浸透させることを目的に、ソフトウェアベンダーや開発者向けのプログラムおよびプラットフォーム・エコシステムを強化することを発表した。
SAPジャパンが推進しているESAは、同社のアプリケーションサーバ「SAP NetWeaver」を中核に、SAPが提供するアプリケーションはもちろん、非SAPアプリケーションにおいても柔軟に統合することを可能にするアーキテクチャ。既存のシステム資産を柔軟に統合できる仕組みを提供することで、急変するビジネスモデルに迅速に対応できるだけでなく、高い信頼性や拡張性、柔軟性を兼ね備えたITシステムを実現できる。
「変化の激しい現在のビジネス環境において競争力となるのは差別化されたプロセスを素早く実装できる仕組みの実現であり、SAPが提供するビジネスプロセスプラットフォーム上で動作するさまざまなアプリケーションを提供できるパートナーとの協力関係が不可欠になる」と話すのは、SAPジャパン バイスプレジデント ソリューション統括本部長である玉木一郎氏。
このような背景からSAPジャパンでは、ソフトウェアベンダー向けの新しい認定プログラム「Powered by SAP NetWeaver」の提供を開始した。
Powered by SAP NetWeaverプログラムは、パートナーのアプリケーションがSAP NetWeaver上で稼動することを認定するもの。J2EEや.Net、ABAPアプリケーションなど、広範囲なソフトウェアに対して適応される。同プログラムに認定されることで、Powered by SAP NetWeaverブランドによるSAPジャパンとの共同マーケティングや各種支援ツールを利用できる。
10月6日現在、16社、34製品がPowered by SAP NetWeaverプログラムに認定されている。認定されている16社は以下のとおり。
- アイウェイ・ソフトウェア日本支社(アシスト)
- アクチュエイトジャパン
- アプリソ・ジャパン
- Wipro Japan
- ウイングアーク テクノロジーズ
- SLジャパン
- オープンテキスト(旧イキソスソフトウェア)
- サン・マイクロシステムズ
- セキュラック日本支社
- 日本NCR テラデータ事業本部
- 日本オプロ
- 日本ビジネスオブジェクツ
- ハイペリオン
- BMCソフトウェア
- プリズム
- マーキュリー・インタラクティブ・ジャパン
今後、SAPジャパンでは、2005年末までに30社、2006年末までに100社、2007年末までに200社を見込んでいる。なお、現在80社、220製品が認定されているSAP製品とパートナー製品間のインターフェースに対する認定「Certified for NetWeaver」の提供も継続される。
また、開発者向けのコミュニティとして、2005年7月に開設されたコミュニティサイト「SAP Developer Network(SDN)」を強化。Powered by SAP NetWeaverプログラムの提供とあわせ、ESAを実現するためのエコシステム実現を目指している。
SDNでは、Javaや.Net、SAPの独自開発言語であるABAPなどを使用してアプリケーションを開発する技術者を対象に、さまざまな情報を基本的に無償で提供。公開されている情報には、SAP NetWeaverおよびSAPコンポジットアプリケーションを中心としたSAP製品の最新技術情報をはじめ、開発ツール、e-ラーニング教材(チュートリアル)、サンプルプログラム、評価版などが含まれている。
また、フォーラムやブログを活用することで、SAPの製品担当者との対話、開発者同士の情報交換の場なども提供されている。現在、SDNには全世界で23万人が登録。日本では2005年9月現在、3000人を超える開発者が登録しており、2006年末までに2万人、2007年末までに3万人の登録を見込んでいる。
玉木氏は、「パートナーおよび開発者向けプログラムの強化により、2007年にはPowered by SAP NetWeaver認定パートナー企業が200社を超え、SDNへの登録技術者数が3万人を超える。この巨大なコミュニティにより提供されたコンポジットアプリケーションにより、顧客企業のイノベーションを加速することができる」と話している。
なお、SAPジャパンでは10月26日、27日の2日間、ホテル日航東京(東京都港区)で開催される開発者向けイベント「SAP TechED '05」において、Powered by SAP NetWeaverプログラム認定パートナー各社との共同マーケティングを企画している。