金融ソリューションが伸びた2005年
2005年のIT業界を振り返ると、全般的な投資は増加傾向にありました。ただ、コストに対する見返りについて見方が甘いかというと、決してそうではありませんでした。今まで以上に厳しい見方をされるようになっています。その投資自体が本当に必要なのかどうか、お客様自身が納得されないと投資活動はなさらない。
ですから、供給する側の私共としても、お客様が本当になさりたいことを明確にし、いろんな角度から求められている解、ソリューションを積極的にお話させていただき、同時にその解をご提供して実際に実行した結果はどうなるか、という観点でのアプローチが重要となりました。
マクデータにとっての2005年は売り上げが大きく伸びた年でした。2003年実績と比較すると倍以上になっています。当時は営業SEが7人で、現在は私を含めて12人ですので効率は上がっています。
また2005年は大変良いスタートを切ることができました。外資系銀行のディザスタリカバリ(DR)の案件で、当社のSAN(Storage Area Network)ルータである「Eclipse」を1ダース以上ご導入いただきました。2005年の前半は非常に順調に推移したと思います。後半に入るとメインフレーム系の案件が比較的多く、特に金融系が好調です。
前半後半とも金融系の案件が中心となりましたが、金融系のお客様なしにはマクデータのビジネスは語れません。私共のビジネスの7割程度が金融分野。今後は、製造や流通とった分野にもビジネスを拡大していきたいと考えています。
他社製スイッチも見えるのはマクデータだけ
現在、国内製造系企業は複数の小規模SANが散在している状況にあります。これらの小さなSANはマクデータのマーケットだと考えています。これらを統合することができるのがマクデータだからです。
実は、マクデータにしかできない技術があります。それはヘテロジニアス(異機種混在)なSANを構築できるという点です。競合他社のファイバチャネルスイッチは自社製スイッチしか見えません。マクデータのスイッチは、競合他社のスイッチ・モードを持っており、コントロールすることができます。
従ってSANを統合しようとする時、仮に複数ベンダーのスイッチが存在していたとしても、マクデータなら解をご提示できますし、トータルコストを下げるためのコンソリデーションをマクデータはご提供できるのです。SANルータやマネジメントソフトウェアについても、マクデータは同様の優位性を持っています。
マクデータの体質を変える
2005年夏以降、私はマクデータの体質を変えるべく努力してきました。確かにマクデータは、ファイバチャネルスイッチ、SANダイレクタ(大規模SANスイッチ)などのメーカーです。しかし、単にスイッチやダイレクタを売るために、私共はお客様にお話させていただいているわけではありません。SANをどのように構築すべきか、あるいは既存のSANをどうしたら効率良く統合・拡張することができるのか、といったひとつのソリューションとしてご提案していきたいのです。
2004年1月にマクデータは米Computer Network Technoloby(CNT)の買収を発表し、2005年6月以降、CNTの方々やCNTのパートナーと一緒になって統合を図り、現在では完璧にひとつの会社になりました。マクデータがCNTを買収した大きな理由が、CNTがメインフレームにかかわる豊富なソリューションを持っているからです。また、CNTはハードウェアを売るだけではなく、長年、お客様にソリューションをご提供するプロフェッショナルサービスを展開してきました。マクデータは、それを自らの中に取り入れたいと考えたのです。
プロフェッショナルサービスを増強
2004年末頃に、マクデータは「Global Enterprise Data Infrastructure(GEDI、ジェダイ)」というコンセプトを発表しました。GEDIは、メインフレーム系やオープン系といった垣根を越えて、データセンター同士がデータのやり取りを行ったり、バックアップを行ったり、もしくはDRを相互に取り合える、といったことを可能にする構想です。
それを実現するのがCNTやマクデータの技術です。これらの技術をお客様にご提供するためには、私共が実現できることをお客様に示さなければなりません。これがプロフェッショナルサービスの役割のひとつとなります。
日本においても2006年2月以降、プロフェッショナルサービスを始めます。具体的には、まず小規模SANの拡張あるいは統合に関するコンサルテーションや構築、運用があります。次にDRサイトの構築です。その中にはバックアップも含まれます。また、SANのヘルスチェック、パフォーマンス診断などもあります。
プロフェッショナルサービスを展開していくために、アジアパシフィック全体で2桁以上の人員を採用していく計画です。まずは日本からプロフェッショナルサービスを積極的に展開し、オーストラリアや中国へと組織を拡大していきます。
また、2004年夏から、私共は“カスタマエンゲージメント”に重点を置いてきました。カスタマエンゲージメントとは、当社は直販していませんが、特定のお客様に対してハイタッチのセールスを展開していく活動です。
ハイタッチセールスが順調に育ちましたので、そこにプロフェッショナルサービスを合流させ、ご提案だけではなく、実際の作業を行うことのできるチームとして展開していきたいと考えています。2006年は売上高で対前年比30%アップが目標です。
競合他社の2〜5倍の性能
2006年上半期には、いよいよバーチャライゼーションの製品が出ます。仮想化は大きな話題となっており、競合他社はソフトウェア的仮想化を考えていますが、マクデータの目で見ると疑問です。
ソフトウェアによる仮想化は、最初は良いのですがお客様が仮想化の面白さを実感されると、途端に機能しなくなります。どんどんパーティションを切って、いろんなことをやり始めるとアクセス数が膨大となり、I/Oがとてつもなく増えるからです。ソフトウェアでいくら処理しようとしても、ハードウェアが追いついていなければボトルネックができてしまいます。
一方、マクデータは、そうした仮想化インフラを整えるアプローチをとりました。マクデータの製品は、1モジュールで1秒間当たり100万I/Oを実現しています。この処理性能は、競合他社のハードウェアが実現し得るI/O数の2〜5倍に相当します。マクデータの製品は、圧倒的なI/O数を誇りますから、お客様が相当無茶な構成をされても、持ちこたえられるだろうと思います。競合他社に対する優位性の高い製品となりますので、大変期待しています。