インタラクティブなウェブサイトが人気を博していることを受け、ソフトウェア企業間の競争が促進されている。各社とも現在、独自の開発ツールキットを市場に投入し始めている。
Sun Microsystemsもこうした企業の1社である。同社は米国時間1月24日にAJAXスタイルの開発の高速化を約束するウェブアプリケーション開発ツール「Java Studio Creator 2」を発表した。IBMもこの競争に仲間入りしようとしており、来週にはAJAX用ツールの販売およびAJAX関連の開発者コミュニティを構築する計画を発表するとみられている。
AJAXという言葉は2005年2月、JavaScript、XMLなどのウェブ技術の組み合わせを表現するために作られた。ますます多くの開発者が、ウェブサイトに双方向性を加え、初代のブラウザの制限を排除するために、このようなグループ化されたツールを利用するようになってきている。
「統合開発環境(IDE)」を提供する大手の供給業者も、今となってはAJAXの流行に注目している。
「Eclipseを含む全ての主要なIDEがAJAX開発をサポートし始めるのも時間の問題であろう」とBurton GroupのアナリストであるRichard Monson-Haefelは述べる。
2005年、GmailやMicrosoftのVirtual Earthといった多くの有名なウェブサービスのフロントエンドでAJAXが利用された。同技術を使うことで、アイテムをドラッグ&ドロップし、異なるウェブサイトから情報を引っ張りこみ、「マッシュアップ」を作ることができる。
こうした動きに、ウェブ上でワープロ機能やTO DOリストなどのアプリケーションを提供するためにAJAXを利用する数社の小規模企業も追随した。
AJAX人気は、大手ソフトウェアメーカーにも及んでいる。Microsoftは早々とAJAXの勢いに乗じている。同社は2005年、AJAXツールキットの「Atlas」(コード名)を開発する計画を発表した。Atlasは同社の主力商品「Visual Studio」ツールと連携する。Atlasの初期バージョンは2005年12月に公開されている。
IBMもまた仲間入りした。まもなくAJAX戦略を展開する同社は、先週、「AJAX Toolkit Framework」プロジェクトをEclipseに含めることを考慮するよう提案した。ツールのベンダーなど業界からの支援を幅広く得ている同財団は、AJAXツール構築のためのフレームワークを作成することを目指している。この提案はBEA SystemsやOracle、Yahoo、LinuxディストリビュータのRed Hat、PHPツールベンダーのZend Technologies、その他による支持を得ている。
このほかにも、AJAX開発に力を入れるベンダーは多く存在する。またMonson-Haefelによれば、AJAX開発者の生産性向上を目指すオープンソースプロジェクトも40件ほどあるという。
大手ベンダーがAJAXに力を入れるようになったことはウェブ開発者や、彼らの構築するウェブサイトにとって有益であると、Monson-Haefelは述べる。その理由として、同氏は、AJAX開発を促すためのツールが不足している点を挙げる。18カ月もすれば、プログラマはAJAXスタイルの開発ツールのほとんどで、サポートを得られるようになるだろうと、述べる。