企業向けのソリューションも提供
こうした家庭向けPC用のプラットフォームのみならず、インテルでは企業向け製品のプラットフォームも2006年秋頃に発表する予定だ。このプラットフォームの開発コード名は「Averill」と呼ばれ、Pentium D 900番台のデュアルコアプロセッサと共に、チップセットやネットワーク機能などが提供される。
またAverillは、企業ニーズに応えるため、セキュリティ機能や管理性を高めたプラットフォームとなる予定だ。こうした機能は、インテルが独自で提供するのではなく、「Viivでインテルがコンテンツプロバイダと協業したように、Averillではセキュリティベンダーやサーバ管理機能を提供する企業との協業がある」と阿部氏は明かしている。
サーバ向け製品の行方は
一方のサーバ向け製品においては、インテル従来の事業モデルが受け継がれており、プロセッサのロードマップが明確に示されている。例えば、2006年に登場する予定のプロセッサだけでも、Xeon低電圧版デュアルプロセッサ(DP)の次期モデルとなる「Sossaman」や、ボリューム向けDPの「Dempsey」(デュアルコアインテルXeonプロセッサ5000番台)とその後継版「Woodcrest」、エンタープライズ向けマルチプロセッサ(MP)の「Tulsa」、Itaniumプロセッサの「Montecito」などがある(すべて開発コード名)。また、これらのプロセッサに付随するチップセットやプラットフォームとしては、ボリュームDPのDempseyおよびWoodcrest用プラットフォームとなる「Bensley」が2006年に登場予定だ。
さらに、2007年以降についても、Itaniumプロセッサの「Montvale」や「Tukwila」、エンタープライズMP向けの「Tigerton」や「Dunnington」、およびそのプラットフォームとなる「Caneland」などがリリースされる予定だ(下図「インテルのサーバおよびワークステーション向け製品ロードマップ」参照)。
こうしたサーバ向け製品のプラットフォームに付随する機能として同社が注力するのは「*Ts」(スターティーズ、Tはテクノロジーの略)と呼ばれる技術群だ。2006年には、*Tsの中で「Intel Virtualization Technology」(VT)と「Intel Active Management Techonology」(AMT)がプラットフォームに実装される予定だ。
阿部氏は、「VTを実装することで、システムの仮想化が実現し、可用性と信頼性の向上につながる」と説明する。仮想化技術はメインフレーム時代からすでに存在していた技術だが、これをIAサーバ上で実現できるよう、インテルが提供するプラットフォームに実装するとしている。
また、AMTについては、「サーバとクライアントの管理性が格段に上がる」と阿部氏。インテルではすでに同技術を提供しているが、今後のバージョンアップにより、「例えばウイルスを持ったPCがネットワークに接続されると自動で切断することや、電源が切れているPCもネットワーク上でBIOSのアップデートができるようになる」(阿部氏)という。
インテルにとってのライバルは「インテル自身」
プロセッサメーカーからプラットフォーム企業へと生まれ変わるインテルにとって、競合の存在はあまり気にならないようだ。「他社の戦略を気にするよりも、自社の戦略を推進し、マーケットをいかに拡大するかという点が一番大きなチャレンジだ」と阿部氏は語る。方向転換することで、ユーザーを倍増させようとするインテル。世界のPCユーザーの数が12億人となる日を目指し、インテルは活動を続ける。