PCユーザー6億人増を目指すインテル:プロセッサメーカーの歩む道

藤本京子(編集部) 2006年02月06日 22時43分

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 コンピュータの中核的な位置づけとなるマイクロプロセッサ。そのプロセッサメーカーとしてシェアを競い合っているのが、デスクトップPCからサーバ用のプロセッサまで幅広いラインアップを揃えるインテルとAMD、そしてエンタープライズサーバ向けのプロセッサを提供するサン・マイクロシステムズの3社だ。

 2006年、インテルはコーポレートロゴとスローガンを一新し、プロセッサメーカーからプラットフォームベンダーへ転換すると宣言した。AMDもインテルと同じくプラットフォームを用意するとしているが、中心となるのはプロセッサ技術の革新だ。一方のサンでは、プロセッサを軸に、サーバやOSも含めたシステム全体を視野に入れている。各社共にプロセッサを中核製品として提供しているが、戦略はさまざまだ。今回は「プロセッサメーカーの歩む道」シリーズとして、3社の戦略を順にまとめようと思う。

プロセッサメーカーからソリューションカンパニーへ

 2006年になり、正式に「プラットフォーム企業」への変革を宣言したのがインテルだ。これにより同社は、従来のように「プロセッサ、チップセット、ネットワーク関連部品」といった部品別に分けて製品開発を行う方針から、「周辺機器なども含めたすべてのコンポーネントを利用形態や顧客ニーズに応じてまとめ、“プラットフォーム”として提供する」ことになる。つまり、「出力」や「速さ」で勝負していたプロセッサという一部品に焦点を当てるのではなく、バランスの取れたソリューションをひとまとめにして顧客に提案するというアプローチだ。

 この方向転換は、PCが一般に普及し、安定期に入った今、ユーザーの目が「PCのプロセッサがいかに速いか」から「PCで何ができるのか」に移ってきたことにある。インテル マーケティング本部 本部長の阿部剛士氏は、「プロセッサはスピードを競争する世界で、速ければ速いほど良いとされていた。それがここ数年は、プロセッサが提供できる付加価値に焦点が当たるようになった」と述べ、同社の更なる成長のために、メーカー側からユーザーに新しい利用形態を提案する必要があるとした。

 このプラットフォーム戦略により、インテルはPCユーザーの数そのものを増加させようとしている。現在世界の人口は約60億人だが、PCユーザーの数はその10%となる約6億人に過ぎない。ユーザーが認識していないPCの使い方を提案し、新たな6億人をPCユーザーとして獲得することがインテルの狙いだ。

 「インテルは、“New Normal”、つまり“新しいあたりまえ”を作りたいと考えている。例えば今の若者は、携帯電話を持つことが“あたりまえ”になっている。プロセッサを中心としたプラットフォーム化を進めることで、今は存在しないが次の時代にはあたりまえになっていることを訴求し、それが人のため、社会のためになるよう目指している」(阿部氏)

 もちろん、これまでにも同社がチップセットなどの周辺機器に注力していなかったわけではない。しかし同社では、2005年1月にプロセッサとチップセットなどをこれまで以上に統合させるという考えの下、モバイルやデジタルホーム、デジタルエンタープライズなどのプラットフォーム別に事業部を再編成していた。つまり、縦割りの事業部編成が横割りになり、用途によって部品同士がより密接に結びつくようになったのだ。

 ただ、プラットフォームを中心とした事業展開を進めるとはいえ、同社が今でも最大の武器としているプロセッサの開発の手を緩めることはない。パフォーマンスを向上させるため、デュアルコアプロセッサを発表したのもそのためだ。コアを増やすことで、同じ周波数でもより高いパフォーマンスが望めるデュアルコアやマルチコアプロセッサが今後も市場投入される予定だ。

プラットフォーム企業としての第1弾「Viiv」

 インテルがプラットフォーム企業として最初に発表したのが、デジタルホームPC向けのプラットフォーム「Viiv」だ。Viiv搭載のPCには、動画やゲームなどのエンターテインメントコンテンツも迅速に処理できるよう、デュアルコアプロセッサが搭載されているほか、最大7.1チャンネルまでのサラウンドサウンド、インスタントオン・オフ機能、またオンラインコンテンツとの接続性などが保証されている。

インテルの阿部氏。使いやすさと親しみやすさを表現するため、インテルはこのようなポーズでViivの広告を出した。

 インテルがViivプラットフォームで提供するのは、「使いやすさ」、「パフォーマンス」、「接続性」の3点だ。パフォーマンスについては、同社が得意とするプロセッサで実現する。接続性は、メディアサーバ機能や、LAN上でプレミアムコンテンツをやりとりするための規定となる「DTCP over IP」(Digital Transmission Content Protection over IP)を採用し、安全で簡単なホームネットワークが構築できるようになる。

 使いやすさについては、家庭内でPCが利用される際のキーとなる部分だが、現在のViivではまだこの部分があまり見えていない。ただし、「現在のViivは初期段階で、今後徐々に進化し、使いやすさが目に見えてくる」と阿部氏は説明する。

 例えば、リビングルームで使っているPCのユーザーインターフェイスを、書斎のPCにそのまま持ち込めるリモートインターフェイス機能などが実装される予定だ。「使い慣れた操作性がどこでも存在することは非常に重要だ。家電では、メーカーが違えばリモコンの使い勝手が違うこともあるが、車ではギアやブレーキの位置がメーカーによって違うことなどありえない」(阿部氏)

 阿部氏は、PCの操作性が複雑で家電のように簡単に使えないとされていることについて、「PCと家電の操作性が逆転する可能性がある」と指摘する。それは、さまざまな機能を備えたテレビやハードディスクレコーダーなどのデジタル家電が登場する中、機能の数と比例してリモコンのボタンの数が増加し、家電を使いこなすことが困難になりつつあるためだ。阿部氏によると、プロセッサやメモリなどのスペックは、家電よりもPCの方が高く、デバイスそのものの資源としてはPCが家電を上回っていると主張、「物事を簡単にするための技術は大変な技術だが、それを実現するための性能はPCに十分備わっている」として、PCが家電より使いやすくなる可能性があることを示唆した。

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