NECは3月23日、無線LAN環境におけるIP電話の通話品質と通話トラフィック収容効率を改善するシステム「VoWLAN品質管理システム」を発表した。
VoWLAN品質管理システムは、変動する電波状態によって変わる無線IP電話の伝送帯域に応じ、通話数ベースの受付制御を実現できる。無線IP電話の通話品質を損なうことなく、通話トラフィックの収容効率を高めることが可能だ。NECでは「無線LANアクセスポイントを効率的に活用し、低コストで無線IP電話環境を構築できる」としている。具体的には、「リアルタイム無線伝送帯域推定技術」と「SIPサーバー連携呼受付制御技術」という2種類の技術を用い、システムを実現した。
リアルタイム無線伝送帯域推定技術は、伝送レート、伝送エラーレート、衝突確率といった電波状態と、VoIPのパケットレートおよびパケット周期といった通話トラフィック状態に基づき、接続要求トラフィックを追加した場合の輻輳状況をリアルタイムにシミュレーションする技術である。通話接続要求が発生するたびに呼受付の可否を判定することで、トラフィックの過負荷状態を防ぎ、安定した通話を可能とする。
一方のSIPサーバー連携呼受付制御技術は、通話トラフィック状態を保持しているSIPサーバと連携することで、各端末の通話状態を把握する技術。通話トラフィックベースで呼受付の許可制御を行うことで、正確なトラフィック状態を把握可能とする。
今後、NECは早期の実用化を目指し、研究開発を強化していく。また、3月24日から27日に国士舘大学世田谷キャンパスで開催される電子情報通信学会2006年総合大会で、両技術を発表する。