Sun MicrosystemsのOS「Solaris」の先進機能の1つを、「FreeBSD」プラットフォームに移植しようとするプロジェクトが実を結びはじめている。
Sunの「DTrace」は、主にサーバーソフトウェアを対象にした高度なパフォーマンス分析やデバッグ機能を備えたツールだ。DTraceがオープンソースライセンスのもとで2005年にリリースされ、その後、このツールをFreeBSDに移植しようとする試みが始められた。
FreeBSDの開発者であり、現在プロジェクトの先頭に立つJohn Birrell氏は、FreeBSD上でのDTraceが、Solaris上で実行できる全てをいまだ網羅しておらず、完成にはほど遠い段階であることを認めている。
「だが、FreeBSDへの移植版が有用であることは間違いないとする、SunのBryan Cantrill氏の意見に私も賛成する」と、Birrell氏は米国時間5月29日、ZDNetオーストラリアに対して電子メールで述べた。
SunでDTraceの開発に中心的にかかわってきたCantrill氏は25日、OSにFreeBSDを搭載しているサーバの使用者や、FreeBSDプラットフォーム用のソフトウェア開発者なら、Birrell氏の移植版はすぐにでも使いたくなるはずだと自身のブログに記している。
Birrell氏は開発に対するCantrill氏始めSunの開発チームから受けた激励と、未公開のものまで提供してくれた大きな援助に謝意を表した。
「私はSunの開発者たちからの助言にしたがって開発を進めている・・・Sunは、また(まだ公開されていない)テストスイートも提供してくれた」(Birrell氏)
Birrell氏はさらに、FreeBSDの開発者コミュニティも最初から同氏の作業をサポートしてくれたと述べた。「彼らの反応は私が『これは必要だ!』と思う気持ちと変わるところはなかった」(Birrell氏)
開発の現状
Birrell氏によると、FreeBSD移植版のDTraceは、テストスイートの1039項目中793項目をパスしたという。
「これはつまり、現段階でもある程度までは、FreeBSD上で非常に満足のいくトレースができることを意味する。カーネルモジュールにロードされているものも含め、全てのシステムコールをトレースできる。低レベルの割り込みから、カーネルの全機能をトレースできる」(Birrell氏)
FreeBSD移植版のDTraceにとって次の重要なステップは、次期バージョン「FreeBSD 7」のコードベースと統合することだとBirrell氏は語っている。
「この一環として、FreeBSDで動作する他のアーキテクチャもサポートしなければならない。私が使ったのは、シングルプロセッサの『i386』マシンのみだ」(Birrell)
FreeBSDはSunの「SPARC」、IBMの「PowerPC」、AMDの64ビットプロセッサなどの数社のプロセッサをサポートしている。「開発作業のために他のアーキテクチャでも試したいと考えている」とBirrell氏は述べている。
このプロジェクトは当初、FreeBSD開発者のDevon O'Dell氏によって2005年9月に始まったが、現在はBirrell氏が引き継いでいるという。
「2006年になって(O'Dell氏は)時間がなくプロジェクトはほとんど進展していなかった。私はメルボルンで4月に開催された『Sun Developer Days』カンファレンスに参加し、それ以来DTraceに取り組みたいと考えていたので・・・O'Dell氏が最初に手がけたCTFツール以外は全て私の作業によるものだ」と、Birrell氏。
この作業における最大の焦点はプロジェクトがカバーする範囲にあると同氏は語っている。「DTraceにOSで起こる全てをトレースできるメカニズムをもたせるためには、OSそのものを徹底して調べなければならない」(Birrell氏)
「SunのOpenSolarisのコードはコードレベルにおいては非常に上手く記述されているが、全体的な設計哲学がすぐに明確になってこない。これが開発作業の2番目の焦点だ」とBirrell氏は述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ