オープンソースは何が“オープン”なのか? - (page 2)

山田洋(テンアートニ)

2006-07-10 15:15

 また、最近話題になることが多くなってきた「Firefox」というウェブブラウザや、「Thunderbird」というメールソフト、「OpenOffice」というオフィスソフトなどが読者にとって真っ先に触れる機会の高い「オープンソースソフトウェア」の例となるでしょう。ここでオープンソースソフトウェアという言葉を使いましたが、オープンソースとオープンソースソフトウェアは、日常では厳密に区別されずに使われています。

 「オープンソース」という場合には、ソースコードが公開されていて、その自由な利用、開発が認められているという意味に使われることが多く、「オープンソースソフトウェア」はオープンソースを採用しているソフトウェアという意味合いで使われることが多いようです。

 話が大分長くなってしまいましたが、このようにソースコードを公開し、世界中の開発者で技術を共有し、自由に開発に参加することでソフトウェアを発展させていこう、というのがオープンソースの基本的な考え方です。もっと厳密なオープンソースの定義は後で述べる「OSI(Open Source Initiative)」という組織が定めていますので、興味がある人は文末の参考URLを調べてみてください。

オープンソースのライセンス

 ここで次のような例を考えてみましょう。

 せっかくソースコードを公開して、世界中の開発者にそのソフトウェア開発に自由に参加してもらい、そのソフトウェアの改善を目指そうとした開発者がいたとします。しかし、途中で別の誰かがそのソースコードを使って別のソフトウェアを作ってしまい、ソースコードを提供せず販売したとしたらどうなってしまうでしょうか。さらにその人が、公開されていたソースコードを自分が書いたと主張して、商的権利を獲得してしまったらどうなってしまうでしょうか。

 こうなってしまったら、最初にオープンソースとしてソフトウェアを作った人の目的や権利が奪われてしまいます。こうしたことを防ぐためにオープンソースは通常「GPL(The GNU General Public License)」とか「BSDライセンス」といったライセンスを付けて公開されます。GPLがソースコードの公開を原則とし、使用者に対してソースコードを含めた再配布や改変の自由を認め、さらに再配布や改変の自由を妨げる行為を禁じているという厳しい条件を付けているのに対し、BSDライセンスは無保証・免責を宣言し、再配布する際に著作権表示を行なうことのみを条件とする、極めて制限の緩いライセンスとなっています。

 これらのライセンスによりオープンソースの開発者の意図や権利が守られるような仕組みが作られています。またこうしたことを行うためには法律などのさまざまな知識も必要になり、個人レベルで簡単にできるものでないためOSIという組織が作られて、そこでオープンソースのライセンスの管理をしたり、オープンソースの促進活動を行っています。

オープンソースを使用することのメリットとデメリット

 ここまで読んでいただいて、オープンソースがどんなものか大体理解できて、すぐにも無料で利用できるオープンソースを使いたいと思った方もいることと思いますが、オープンソースを使うことは必ずしも良いことばかりではありません。商用ソフトウェアを使う場合と比較してオープンソフトウェアを使うメリットとデメリットを説明しましょう。

 オープンソースを使うメリットとしては、無料で入手できることや、ソースコードを入手して自分の使用目的に合わせて自由にソフトウェアを変更したりできることなどが挙げられます。一方でデメリットとしては、中途半端な技術力で臨むと、使い方が分からなかったときや障害が発生したときに十分なサポートを受けられない可能性があります。

 商用製品と違い、自分で対応する以外には開発元のコミュニティに頼らなければならないため、必ずしも迅速確実な対応が受けられるとは限りません。オープンソースのサポートを行うことで利益を得るというのが新しいビジネスとして確立しています。

 ソフトウェアの利用者は、それぞれの利用目的に従って商用ソフトウェアを選択するか、オープンソースを選択するか、オープンソースを使うにしてもサポートを行っている会社があり、有償でサポートを受けることができるか等をきちんと調べる必要があります。

参考文献

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