「2007年には新製品を」--AMD、ATI買収の詳細を語る

藤本京子(編集部)

2006-07-27 21:41

 日本AMDとATIテクノロジーズジャパンは7月27日、共同で記者会見を開催し、24日に発表された米AMDによるカナダのATI Technologies買収について詳細を説明した。

 2人並んで壇上に立ったのは、米AMD 執行副社長 ワールドワイドセールス/マーケティング最高責任者のHenri Richard氏と、ATI Technologies ワールドワイドセールス担当 シニアバイスプレジデントのRick Hegberg氏。お互いにこの買収がとても友好的ですばらしいものだとアピールした。

 まずAMDのRichard氏は、今回の買収について「両社が一緒になることで、シェアが拡大できるのみならず、1社でカバーできる領域が広がる。また、これからも両社はオープンプラットフォーム、オープンスタンダードで事業を進め、顧客の選択肢を広げる」と述べた。

PHOTO 手を組む2社の代表ら。左から、米AMDのRichard氏、日本AMDのUze氏、ATIテクノロジーズジャパンの森下氏、加ATI TechnologiesのHegberg氏

 一方、ATIのHegberg氏は、「AMDはサーバやPC領域で力があり、ATIはデジタル家電分野に強い。またAMDは、ATIにはないエンタープライズ向けのセールス組織もあり、ATIのワークステーション向け製品“Fire GL”を拡販するいいきっかけになる。お互い相互補完的に力を発揮でき、相乗効果は計り知れない」とした。

 Richard氏はさらに、「ATIの買収にあたって、ATIの製品ポートフォリオを見たが、すべての製品において相乗効果がある」とつけ加えた。

 また、新興市場にも注力したいとRichard氏は述べ、AMDが目標として掲げている「2015年までに世界中の50%の人がインターネットにアクセスできるように」という考えを実現させるためにも、ATIの得意分野が強みとなるとした。さらに、デジタルホーム向けプラットフォームの「AMD LIVE!」でも、ATIのビデオプロセシング技術が大きく貢献すると述べた。

 両社は、合併の効果を証明する製品を2007年には発表するとしている。2008年以降には、GPU(Graphics Processing Unit)やビデオプロセス、チップセットなど、「シリコンレベルでの革新が実現する」(Richard氏)とした。

 この買収については、ATIがAMDのCPUに縛られるのではないか、その結果売上が減少するのではないか、といった否定的な見方もあるが、Richard氏は「ATIがAMDのCPUのみをサポートするわけではない。われわれが顧客の選択肢を狭めることはしない。今後もインテルプラットフォームのサポートは続ける」と述べた。「AMDは、フェアでオープンな競争を望んでいるのだ」(Richard氏)

 また、Hegberg氏も「Intelに対するグラフィックビジネスは今まで通りだ。投資する額やビジネスの内容に変更はない」とした。製品ロードマップの見直しについても「全くない。顧客の要求に応えるためにマイナーな変更はあるかもしれないが、それはこれまでにも起こっていたことだ。買収が要因となって変わることは何もない」とした。

 ATIのブランド名についてもRichard氏は、「ATIのポートフォリオの中で、ブランドは技術や人と同程度に重要なもの。マーケティング最高責任者として、この財産を今後も守っていきたい」と述べた。

 買収後にレイオフなどが発生するかも気になるところだが、Richard氏は「優秀な人材を見つけることは、顧客を見つけるより難しいこと。今回の買収は、優秀な技術者やマーケティング担当者など、さまざまな分野でいい人材が集まるという点でもすばらしいものだ」としている。米国およびカナダのオフィスの統合もないとしており、ATIはこれまで通りトロントに拠点を置く。

 日本オフィスの統合は、買収が正式に完了した後に検討する。なお、今回の買収について、日本の両トップが正式な知らせを受けたのは、ATIテクノロジーズジャパン 代表取締役社長の森下正敏氏が「2週間前」としており、日本AMD 代表取締役社長のDavid M. Uze氏は「24日(発表当日)だ」と答えていた。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  2. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  3. ビジネスアプリケーション

    新規アポ率が従来の20倍になった、中小企業のDX奮闘記--ツール活用と効率化がカギ

  4. ビジネスアプリケーション

    カスタマーサポート業務で生成AIはどう使えるか、代表的な活用場面を解説

  5. ビジネスアプリケーション

    改めて知っておきたい、生成AI活用が期待される業務と3つのリスク

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]