では、具体的にOffice 2007と、それ以前のバージョン(97〜2003)でのファイル交換はどのような方法で行うことになるのだろうか。
2007アプリケーションでは、当然のことながら以前のファイル形式(.doc、.xls、.ppt)で受け取ったファイルを問題なく開いて編集することができる。ただし、この場合の2007アプリケーションは「互換モード」で動作する。互換モードとは、以前のバージョンのユーザーとのファイル交換を問題なく行えるようにするために、2007アプリケーション独自の機能を無効化したり、調整するモードである。必要に応じて、保存するファイルが以前のファイル形式と互換性があるかをチェックする機能や、2007のファイル形式にアップグレードして保存する機能が利用できる。

逆に、Office 97〜2003のユーザーが、2007形式のファイルを受け取る場合だが、これについてはマイクロソフト側で、以前のバージョン向けの「Compatibility Pack」を提供するとしている。Compatibility Packを適用することにより、Office 97〜2003においても、ファイルのオープンと保存のダイアログで、2007形式(Office 12形式)を選択することが可能になる。つまり、このソフトが適用されたOffice 97〜2003と2007の間では、Open XML Formatsでのファイル交換が問題なく行えるというわけだ。
Compatibility Packの配布に関する具体的な時期や方法は現時点で未定だが、マイクロソフトではダウンロードサイトを開設し、そこへの誘導を行うとしている。
企業ユーザーには移行支援ツールを提供
一方で、膨大な量の情報資産が従来のOfficeドキュメントとして蓄積されている企業ユーザーに対しては、マイクロソフトが「Office Migration Planning Manager」および「Office File Conversion Tool」と呼ばれるサポートツールの提供を予定している。
Office Migration Planning Managerは、企業内に存在するOfficeドキュメントをスキャンし、Office移行にあたっての潜在的な互換性問題に関する詳細な情報をレポートするもの。一方のOffice File Conversion Toolは、Migration Plannning Managerの結果を利用して、変換しても問題がないと判断されたファイルを、2007の形式へ一括変換するものだ。
特に企業ユーザーがOffice 2007への移行を考えるにあたっては、従来のファイル形式で蓄積されたデータの移行、社内でのファイル交換ルール、社外とのファイル交換ルールをどうするかなど、考慮すべき多くの問題が出てくる。これらの問題へ対処するためのコストと、Office 2007の新機能によって生み出される生産性の向上とを慎重に事前評価し、十分な計画の上で移行を進めることが、これまでのバージョンアップ時以上に求められるだろう。