「10年ぶりの大幅リニューアル」の根拠
マイクロソフトが「Office 2007」を「約10年ぶりの大幅なリニューアル」とする根拠の最たるものは、Word、Excel、PowerPointといったメジャーなアプリケーションにおける「UI」および「標準ファイルフォーマット」の大幅な変更が行われている点にある。
UIについては、従来のドロップダウンリスト形式のメニューバーが大幅に見直され、「リボン」と呼ばれるものが採用された。操作の「目的」を示すタブをクリックすることで、下部に、その状況で使用できる機能を示したボタンがパネル状のツールバーとして表示される。同社ではこの新たなUIを「結果指向のUI」と呼んでいる。バージョンが上がるごとに増え続ける各アプリケーションの膨大な機能を、より効果的にユーザーに利用してもらうための変更という。

また、文書中の文字やグラフなどの見栄えを変更する操作を行う場合に、変更結果のプレビューがドキュメント上にダイナミックに反映される「ライブプレビュー」機能なども、各アプリケーションの操作感を、従来とは大幅に異なるものにしている。
ユーザーが使い慣れたアプリケーションにおける大幅なUIの変更は、ともすれば新バージョンへの移行を妨げるリスク要因ともなりかねないが、マイクロソフトでは「ユーザーが新たなUIに慣れるために払うコスト以上に、このUIからユーザーが受けられるメリットのほうが大きい」と自信を見せる。
Open XML Formatsが標準ファイル形式に
企業ユーザーにとって、「新バージョンへの移行に伴うリスク」という観点で、よりシビアに受け取られかねないのは、UIの変更よりも、むしろ「標準ファイルフォーマットの刷新」についてだろう。

Word 2007、Excel 2007、PowerPoint 2007の各アプリケーションでは、標準のファイル形式が、「Open XML Formats」と呼ばれるXMLをベースとしたものに変更されている。それに伴い、拡張子もそれぞれ「.docx」「.xlsx」「.pptx」というものに変更された。同社では、この新フォーマットの採用理由として、XMLをベースとすることによる障害復旧の容易さ、外部のWebサービスなどとの連携の容易さ、標準化に伴う相互運用性の高さ、開発者の多さといったメリットを挙げている。また、これらのメリットに伴い行政機関や公的機関からのニーズが高まったという点にも触れている。
Office 2003まで使われた現在のOffice文書の標準バイナリファイルフォーマットは、Office 97の時代に設計されたものがベースになっており、実に10年近くにわたって使われ続けてきたものである。その変更は、マイクロソフトにとっても、それを利用しようとするユーザーにとっても、ある種のチャレンジだといえるだろう。