製造業にとって、今はBIの導入を検討するのに最適な時機--コグノス - (page 2)

柴田克己(編集部)

2006-10-18 17:06

--製造業において、ERPやSCMの次の段階としてのBIの導入は、実際にどのような形で進んでいるのでしょうか。

 2003年ごろまでは、とにかく「詳細を把握」して、自分たちが計画通りに作業を処理できているかどうかを確認することに主眼をおき、多くの企業ではトランザクション系のシステムを導入してきました。また、i2などに象徴されるように、前もって計画系のシステムに必要なデータを入れておくことで、きちんと機器のスケジューリングを行い、可能な限り生産の効率化を図っていこうという動きもありました。これらのシステムは、それぞれに特徴があり、多くのメリットをもたらしました。

 ただし、こうしたシステムでは、何か問題が起こったときに「問題があった」ことは分かりますが、その原因までは知ることはできません。たとえば、納期遅れという問題が起こった場合には、「納期が計画よりも遅れた」という警告が出るわけですが、そこにBIが加わることによって、その詳細を探るためにデータに対してドリルダウンなどを行い、そこで何が起こっているのか、例えば、それが繰り返し起こっている問題なのか、その日たまたま担当者が欠勤したためなのかといったことまで、探り当てることができます。このような形で、オペレーションを分析していくことによって、生産効率を高めることができ、それがひいては企業としての利益率向上につながっていくのです。

 かつてのBIは、「分析」や「レポーティング」といった、個別の機能に特化した使われ方が注目されていました。また、そこから吐き出されるデータをもとに、エグゼクティブ向けのダッシュボードを作って、経営の意思決定にかかわる情報を、迅速に伝達するという使われ方が、ひとつの流行になった時期もありました。こうしたそれぞれの機能は、比較的、「別のもの」であるかのようにとらえられていたと感じています。

 現在のBIの位置づけは、これらの「パフォーマンスマネジメント」にまつわるさまざまな機能を実現するための「共通プラットフォーム」であるというものです。この考え方は、これまでのBIの位置づけを変化させるものだと思います。

 その意味では、昨年の11月末に日本でも出荷が始まった「Cognos 8 BI」は、製造業のお客様に非常に高く評価されています。理由のひとつは、分析、レポーティング、スコアカーディング、ダッシュボードといったBIにまつわるあらゆる機能が、ひとつのアーキテクチャ上に製品としてまとまっている点です。そしてCognos 8 BIの最大の特徴でもあるのですが、データソースを選ばず、さまざまなシステムから吐き出されるデータを統合して、レポートを生成できるという点も、理由として挙げられます。これらの特徴から、現状や問題点の把握が極めて容易になり、ビジネス効率を上げることができます。

--実際の導入事例について教えてください。

 Tyson Foodsという企業では、生産計画に、あるERPパッケージとManugisticsを使っています。これによって、生産計画を統合的に作ることができるのですが、例えば、生産計画の実行中に新規の顧客を獲得し、新規のオーダーが入ったような場合には、生産計画をすべて見直す必要が出てきます。これまでは、そうした情報を一元化して、新たな計画を立てるという作業に大変な手間がかかっていました。そこに、Cognosを導入することで、これらのシステム間の情報伝達が非常にスムーズになったという事例があります。

 また、ハイテクシステムのカスタム製造を中心に行っているVicorという企業の事例も興味深いものです。Vicorでは、SAP、i2、Siebelを導入しており、生産ラインの自動化も極めて高いレベルで進んでいるのですが、それらのシステムから吐き出されるデータは、すべてExcelのシートとして吐き出されており、問題の原因の特定や、データの比較が極めて困難な状況でした。同社でも、Cognosを導入することによりその問題を解決しています。ここでは特に、データソースに縛られないCognosの特性が発揮されたといえるでしょう。Vicorでは、さらにトランザクション系のシステムと物流系のシステムとの間で、パーツを特定するIDを同期するという用途にもCognosが使われています。

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