オートデスクは4月11日、2008会計年度における戦略発表会を開催した。
登壇したのは、前任の志賀徹也氏から引き継いで、2007年2月15日に同社社長兼米国Autodeskのバイスプレジデントに就任した鬼澤盛夫氏。鬼澤氏は、1970年に日本ユニバック(現日本ユニシス)に入社後、同社でCAD/CAMセールス/マーケティング・マネジャーを、その後、シチズン・ヨーロッパ、メンター・グラフィックス・ジャパン、コネクサント・システムズ・ジャパンなどの社長を歴任した人物だ。
鬼澤氏は、2007年度のワールドワイドにおけるオートデスクの年間総売上が18億4000万ドル(約2200億円)となったことを報告。これは、対前年度比で21%の増加、3年前と比較すると約2倍の成長であるという。この成長を牽引しているのは、Inventor、Revit、AutoCAD Civil 3Dなどを含む、3次元(3D)対応の製品群であるとした。
現在、全世界で800万を数える同社製品ユーザーのうち、3Dの環境へ移行しているユーザーの割合は全体の約15%ほど。鬼澤氏は、特に日本市場において「2D CADのみの環境が多く、3Dの導入は、一部の企業を除いて進んでいない」とした。オートデスクでは、引き続きユーザーに対し、3D環境への移行を促していくという。
「デジタルプロトタイプを用いることによって、設計の早期の段階から、部門間での迅速なコミュニケーションやシミュレーションが可能となる。その実現には、3D設計環境の導入が必須」(鬼澤氏)
同社では今後の拡販に向けた施策として、量販店向けのパッケージ販売に向けたVAD(Value Added Distributer)と、顧客ごとの対応を行うVAR(Value Added Reseller)とを明確に分ける新たな販売モデルを導入した。これにより、同社製品を利用する、業界ごとのニーズに合った流通経路を提供できるという。また、日本法人においては、製造、建設、地理情報という3つの分野へ向けたアプリケーションごとの販売部隊を組織し、それぞれの分野に対する個別のアプローチを強化していく。