MS幹部が語る「ユーザー主導型マーケティング」--「Mix '07」カンファレンスで

文:Martin LaMonica(CNET News.com) 翻訳校正:編集部

2007-05-02 18:39

 ラスベガス発--メディア機能が充実した消費者向けデバイスと社会的志向のウェブサービスとの統合が、マーケティングの新たな道を開く、とMicrosoftのエンターテイメント&デバイス部門担当プレジデントを務めるRobert Bach氏は語る。

 Bach氏は米国時間5月1日、当地で開催のMicrosoft主催ウェブ開発者およびウェブ設計者向けカンファレンス「Mix '07」で講演した。同カンファレンスの聴衆であるウェブ開発者やウェブ設計者は、Bach氏率いるエンターテイメント&デバイス部門が通常対応している相手とは異なる。

 しかし、Bach氏は、ソーシャルネットワーキングサイト(SNS)などのウェブアプリケーションがもたらすさまざまな機能と、メディアとソフトウェアとの緊密な統合により、消費者マーケティングの様相が変わると指摘した。

 Bach氏は基調講演で、「開発の世界を変えている技術が、マーケティングの世界も変える」と語った。

 Mix '07カンファレンスでは、Microsoftの顧客企業数社が、Microsoftの家庭用ゲーム機「Xbox 360」または家庭用PCとオンラインサービスとを統合する目的で開発されたアプリケーションのデモを行った。

 一例として、米国ハンバーガーチェーンのBurger Kingは、Xbox 360向けの3種類のミニゲームを開発した。価格は3.99ドルで、各ゲームにはBurger Kingのキャラクターが登場する。同社によると、それらのゲームの6週間の累積販売本数は320万本に達し、ゲームユーザーたちの間で同社のブランドを確立する上で役立っているという。

 また別の例として、Microsoftは、同社のXbox 360用アクションゲーム「Gears of War」用の広告を制作するために、ある企業と契約を結んだ。その広告は早速YouTubeなどのメディア共有サイト上に掲載され、さまざまな音楽や素材でリミックスされた。

 Microsoftによると、その広告はこれまでに、500万回以上視聴され、およそ700種類のマッシュアップが制作されており、そのおかげでGears of WarはXbox 360用ゲームのベストセラーになっているという。

 「コミュニティーが、われわれに代わってマーケティングを行った。それこそまさに、Ray(Ozzie)が昨日話したソフトウェアやサービスの技術を利用したり、それをマーケティングに活用することによって得られる興奮だと私は考える」(Bach氏)

 一方、英国放送協会(BBC)は、Microsoftが「Adobe Flash」の対抗馬として開発した「Silverlight」を使用するウェブアプリケーションのプロトタイプを披露した。BBCのエグゼクティブプロデューサーであるJason DaPonte氏によると、この新しいウェブアプリケーションは、BBCが関心を引くのに苦労しているティーンエイジャーをターゲットにしているという。

 DaPonte氏によると、このアプリケーションは、ビデオゲームやSNSで一般に使用されている機能を組み込む設計になっているという。同アプリケーションのインターフェースでは、BBCのウェブサイトから入手した音声ファイルやビデオファイルなど、さまざまな種類のメディアの発見や共有が可能になる。

 DaPonte氏は、「ティーンエイジャーは、常にインスタントメッセンジャーを利用していることが分かっている」とした上で、「できれば、現在のわれわれの取り組みによって、大変狭いわれわれの領域に彼らを導くのではなく、BBC自体を彼らのいる場所に持ち込みたいと考えている」と語った。

 Bach氏がCNET News.comとのインタビューで語ったところによると、現在、Microsoftは消費者向けデバイスと同社のコミュニティーサイト「Windows Live Spaces」などのオンラインサービスとを統合できる別の分野を模索しているという。Microsoftは5月中に、Xbox Liveユーザーが自分の「Buddy(友達)」リストを「Windows Live Messenger」のユーザーと共有できるようにする計画だ。

 「われわれは最終的に、複数のLiveサービスに共通の1つのソーシャルコミュニティーを作ろうと考えている。これは大変強力なアイデアだ」(Bach氏)

 また、Bach氏によると、Microsoftは同社のメディアプレーヤー「Zune」向けに動画配信サービスを提供する方法を検討中だという。

 Bach氏によると、テレビ番組やコメディ、さらにユーザーが制作したコンテンツといった特定の種類の動画はZuneに搭載されているような小型画面でも十分楽しめるが、長編映画はそうはいかないという。Microsoftは、各コンテンツタイプに最適なビジネスモデルを熟考している。

 Bach氏は、「まずは音楽(サービス)だが、動画にも出番があると考えている」とした上で、さらに次のように続けた。「しかし、人々が初期に犯した過ちは、テレビを通じて得た経験をそのまま、Zuneに当てはめたことだ。われわれは、それが正しいアプローチだとは考えていない」

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ

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