イージェネラは5月8日、同社の仮想化技術とハイパーバイザーとの統合を実現したソフトウェア新製品「vBlade」と、災害バックアップソリューション「PAN Portability Software」を発表した。
vBladeを使えば、仮想化環境下で物理サーバーと仮想マシンの両方が管理でき、単一環境下でのシステムの構成管理や資源のアロケーションおよび再利用などが可能となる。vBladeはまず、XenSourceの仮想化ソリューション「XenEnterprise」を使用する。今秋にはVMwareの「VMware ESX」との統合も予定している。
vBladeソフトウェアにより、イージェネラのブレード製品「BladeFrame」を利用するユーザーは、同社のデータセンター仮想化機能「PAN Manager」ソフトウェアとXenEnterpriseの統合環境が利用できるようになる。これにより、N+1フェイルオーバーやN+1ディザスタリカバリ、LANおよびSANの仮想化と冗長化などの機能が仮想化資源と物理的資源の双方で利用可能となる。
一方のPAN Portability Softwareは、BladeFrameの仮想化機能で災害バックアップシステムを実現する方式をパッケージ化したものだ。
通常、分散システムにおけるディザスタリカバリシステム構築においては、メインシステムと同じ構成でバックアップシステムを構成し、メインシステムに変更が加えられるごとにバックアップシステム側でも同様の変更を行うことは困難だった。BladeFrame上では、こうした構成定義要素がすべて仮想化され、同社が「PAN(Processing Area Network)」と呼ぶ定義情報はXML化して保存される。この情報をメインシステムからバックアップシステムに自動的にコピーすることで、自動的にメインシステムとバックアップシステムの構成が同じ状態に保たれる。このソリューションをイージェネラではPAN Portability Softwareとしてパッケージ化した。
これらのソフトウェアのライセンス価格は、以下の通り。
- vBlade
2ソケットブレード用:18万7500円
4ソケットブレード用:37万5000円 - PAN Portability Software
2ソケットブレード用:96万7000円
4ソケットブレード用:173万2000円
イージェネラでは同日、ハードウェア関連製品の大幅な値下げも発表している。完全二重化構成と仮想化ソフトウェアの最小構成価格が、従来の約2300万円から半額以下の約999万円へ、これに災害バックアップを追加した構成が、従来の約4600万円のほぼ半額となる約2300万円へ、96 CPUに192コア、768Gバイトメモリという大規模構成は、従来約2憶200万円だったものが約1憶3600万円への値下げとなる。
イージェネラ 代表取締役社長の大木稔氏は、「これまでイージェネラの製品は、高機能、高性能だが、高価なシステムという印象が強かった。価格を大幅に下げることで、より幅広いユーザー層にアピールしたい」と話す。
同社の製品は、創立者のVern Brownell氏が元Goldman SachsのCTOであったこともあり、金融分野の大規模ユーザーが中心となっていた。しかし、「今後は通信や公共、製造などの分野にも積極的に進出したい」と大木氏。通信、公共分野で実績のある大手SIとの協業も近く発表する予定だという。
2002年9月に日本オフィスを開設して以来、同社が獲得した顧客は40社。大木氏は、こうした新たな戦略により、「2008年待つまでの約1年半で顧客数を倍増させる」と意気込んでいる。