キーワードは「組織」「プロセス」「技術」
IT内部統制を考えていく際には、「組織」「プロセス」「技術」の3つの視点が必要だ。
1.組織
IT内部統制ポリシーを明確にする。経営陣が自らポリシーを作り、なぜ、会社組織としての実施が必要なのか、IT内部統制をどうやって実現するかといったことを全社に告知する。そして、定められたポリシーに従い、社員教育を実施する。特にPCの利用方法を制限するようなポリシーは施行する前に、背景をきちんと説明しなければ協力が得られないだろう。
2.プロセス
最近では、プロセスというよりも「見える化」と言ったほうが、とおりがいいかもしれない。このプロセスによって「誰が」「何を」やるのかを明確にする。
IT内部統制のポリシーは作っただけで終わらない。定めたポリシーと現場が乖離してしまうことを防がなければならない。そのため、組織としてのポリシーを定めた後、環境を守るプロセス、環境変更を許可するプロセスを定着させる必要がある。
環境を守るプロセスを継続させるのは、かなり難しい。従業員から見れば、新たに面倒な手続きが増えるからだ。従業員教育だけでなく、期限を決めて、表彰と報償を含めた取り組みを行うというのも、定着を促すためのひとつの方法だ。
環境変更を許可するプロセスは、慎重に取り決める必要がある。ユーザーによる自分勝手な環境変更を許すようなプロセスを作ってしまうと、全社で考えた場合に生産性が落ちることが多い。例えば、「自分が便利だから」という理由で全体を考えずに、アプリケーションのバージョンを変更してしまうと、過去のアプリケーションで作った文書がうまく印刷できなくなってしまったり、他の人がファイルを使う時に互換性の問題が発生したりというケースが起こり得る。とはいえ、変更申請を全面的に禁止してしまうと、非公式な抜け道ばかりができ、プロセス自体が意味をなさなくなる。そのため、環境変更のための相談窓口と手順を明確にしておくことが重要だ。
3.技術
全社のPC環境を統一するために、OSレベルで環境をロック(固定)しておく。これは、「作業時にうっかり……」「つい出来心で……」といった事態を防止するためだ。
Windows XPでは、「グループポリシー」と呼ばれる機能で環境をロックすることができる。とはいえ、社内に複数台あるPCの設定を、1台ずつせっせ変更して、グループポリシーをもれなく設定するのは、時間と手間の無駄づかい。これでは、継続的に発生する環境変更もままならないだろう。

Windows ServerのActive Directoryでグループポリシーを設定すれば、社内にある複数台のPC環境を統一するにあたって、たった1度の操作で済む。グループポリシーの設定は、ドメインコントローラで作業する。担当者がいちいち各クライアントで作業する必要はない。
ここで注意だが、グループポリシーは、設定直後に直ちに反映されるわけではない。グループポリシー設定後に最大120分待ち、クライアントを再起動することで適用される。