NECは6月7日、通信サービスで使われているさまざまなプロトコルやその特性をつかむことで、通信ネットワーク上を大量に流れるデータの一部を観測するだけで、通信サービスの品質を推定できるネットワーク品質監視手法を開発したと発表した。
同技術では、試験データを流す必要がないため、実際の通信サービスの品質に影響を与えることなく、きめ細かな品質監視を行うことが可能。今後想定される大容量通信やその他の新サービスの登場に対しても低コストに対応することが期待できる。
今回開発されたネットワーク品質監視手法は、以下の2点の技術開発によって実現している。
まず1点目は、各通信サービスで使われるプロトコルの振る舞いから、通信品質の監視で重要となる特徴を明らかにしたということ。また、ネットワーク中を流れるパケットのうち一部を取り出して観測する「パケットサンプリング」の際に、その特徴が観測できる確率を解析的に明らかにしたという。これによって、通信量やパケットロス、遅延などの通信品質を統計的に推定する。
2点目は、1点目の通信品質推定におけるパケットサンプリングで、ネットワークの負荷状況を監視するプロトコルである「sFlow」フォーマットを利用できるというもの。今回の技術で利用する、ネットワークを通過するパケットを受動的に観測する装置である「パッシブプローブ」は、既存sFlowプローブの上位互換として機能させることができる。
研究の一部は、総務省からの委託研究である「次世代バックボーンに関する研究開発」プロジェクトの成果という。NECは、この技術が高速通信ネットワークの安定的な運用と運用コスト削減に貢献できるとしており、今後も研究開発を続ける。