TCOの計算
ROIはTCOの削減による利益増加に依存するため、TCOを先に見てみることにしよう。TCOは、導入に関連する「すべての」経費を合計することで計算できる。これには以下のようなものが含まれる。
- 機器の初期コスト。新たなケーブルの敷設など、関連するすべてのコストに加え、設備投資費の減価償却費も含まれる
- コンサルタントのコストや、システムを導入するために必要となるその他の外部要員のコスト、システムの導入や管理、メンテナンスにかかわる内部要員の残業代やその他の付加的なコストすべて
- 想定される機器寿命の間にかかるメンテナンス費用(メンテナンス契約のコストおよび/または保証や契約でカバーされないコスト)
- IT担当者が機器やソフトウェアの管理を行えるようにする訓練費用と、ユーザーがそれらを利用できるようにする訓練費用。これには学習期間中の生産性の低下も含まれる
- 故障が発生した場合の機会損失費の想定額
- バックアップのコスト
- 機器を設置するために必要となる物理的なスペースのコストや、機器を稼働させるための電力コスト、保険費用などといったその他の関連コスト
これらコストのうち、必要なものについて見積もらなければならない。こういった見積もりの一部については、ベンダーやプロバイダーの支援を受けられるかもしれない。より正確なコスト評価を得る方法の1つに、限られたエリアで先行導入、あるいは試験導入を行い、そのコストから全社的に導入した場合のコストを推定するというものがある。
ROIの計算
これで、導入コストの計算結果を基にしてROIを計算する準備が出来たことになる。VoIPへの移行においてコスト削減効果をもたらすと見込まれる要因をすべて含めることを忘れないように。例えば次のような項目だ。
- 長距離通話コストの削減
- データ用と音声用に2つのネットワークを別々に管理する必要がなくなる(同じ配線を利用するなど)ことでもたらされるコスト削減効果
- 統合とコンバージェンスによってもたらされる管理負荷コストの削減
- ユニファイドコミュニケーション機能といった、以前にはなかった高度な機能を利用することでもたらされる生産性の向上
現実的な視点から、VoIPに要求されるテクノロジをサポートするために必要となる古いネットワーク(配線やスイッチ、インターネット接続)のアップグレードに代表される、VoIP導入コストを増加させる可能性のある要因を考慮しておくべきである。また、セキュリティ確保のために必要となるかもしれない追加コストも考慮しておくべきである。
まとめ
あなたの会社がVoIPによるコスト削減や利便性の恩恵を受けられるようにするには、VoIPへの移行を決断する人々に対してそのアイデアを売り込む必要がある。事実をすべてまとめ、説得力のあるプレゼンテーションを作成することがその役に立つだろう。