米調査会社のForrester Researchでは、2007年6月に企業のウェブサイトにおける利用者向けの価値や使いやすさ、信頼性などを評価した調査レポート「Best And Worst Of Japanese Site Design 2007」を発表した。このレポートでは、自動車、銀行、家電分野における大手12社のウェブサイトを対象に調査が行われている。
今回の調査を行ったシニアアナリストのJonathan Browne氏は、「ウェブサイトが成功しているのか、失敗しているのかを評価する場合には、ユーザーが目指す“ゴール”をサポートしているかどうかを評価すればいい。ユーザーのゴールをサポートできないウェブサイトは失敗する」と話す。
ユーザーのゴールをサポートしているかどうかを評価するためにForrester Researchでは、次の3つの条件を定義している。
- ユーザーは誰なのか
- ユーザーが目指しているゴールとは
- ウェブサイトはいかにユーザーをゴールに導くか
多くの企業ではウェブサイトを構築する場合に、サイト分析やラボによるユーザービリティテストなどにより、サイトの使い勝手を独自に評価している。しかし、それでも「ユーザーが目的とする情報までたどり着けないウェブサイトは多い」とBrowne氏は言う。
「企業は、ユーザーをいかにウェブサイト上のゴールに導くかを常に考えておく必要があるが、毎回ユーザービリティテストで検証することは難しい。そこで、我々が提供する方法論が有効になる」とBrowne氏。
今回、Forrester Researchが使用した方法論は、25種類の調査項目で構成されている。25種類の調査項目は、「価値(Value)」「ナビゲーション」「プレゼンテーション」「信頼性(Trust)」の大きく4つの分野に分類されている。
そのウェブサイトはユーザーにとって「価値」があるのか、価値を得るための「ナビゲーション」は効果的なのか、「プレゼンテーション」において分かりやすい言葉を使っているか、セキュリティポリシーに基づいた「信頼性」を確保しているかなどが25項目で評価される。
ひとつの調査項目に対し-2ポイント〜2ポイントで採点。調査項目に対し、合格は1ポイント、失格は-1ポイント。ベストプラクティスを実現していれば2ポイント、同じミスが数多くある場合には-2ポイントで評価。最小で-50ポイント、最高で50ポイントがウェブサイトの得点となる。
同社では1999年より、この方法論による企業のウェブサイト評価を行っている。方法論は時代に合わせて見直されており、現在では第6版となっている。
「1999年11月から2007年4月までの期間に世界各国1001社のウェブサイトを評価してきたが、その平均は0.9ポイント。合格点である25ポイント以上に評価された企業は35社しかない。ちなみに、-50ポイントおよび50ポイントに評価された企業もない」(Browne氏)
今回、日本企業のウェブサイト調査では、自動車、銀行、家電の3分野で4社ずつ、日産自動車、トヨタ自動車、本田技研工業、マツダ、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、ソニー、パナソニック、東芝、シャープの12社を調査対象とした。それぞれの分野では、3種類のユーザーが、いかに目的とするゴールにたどり着けるかが調査された。