アウトソーシング市場でインド企業が初めてリーダーポジションに--フォレスター調査

藤本京子(編集部) 2007年07月06日 14時50分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 米調査会社のForrester Researchが、ITインフラのアウトソーシングサービス事業者を調査した。同社が調査対象としたのは、1500万台のデスクトップサポートサービスや、10万台のサーバ管理、74万台のWANおよびLAN装置の管理など、大型案件を手がけているグローバル企業19社だ。

 評価した内容は、過去3年間の経験値や顧客管理の方法、顧客満足度など、サービス内容全般はもちろん、価値ある提案ができるかどうか、競合に対する優位性を持っているか、1年後によりよいサービスが提供できそうか、研究開発は進んでいるかといった戦略面、そして、資金力や顧客ベース、従業員数などから市場認知度を判断し、評価基準に盛り込んだ。

Roehrig氏 Forrester Research シニアアナリストのPaul Roehrig氏

 同調査を担当したForrester Research シニアアナリストのPaul Roehrig氏は、「今回の調査で特に目立ったのはインドに拠点を置くアウトソーシング企業の成長だ」と話す。中でも、TCS、Infosys、HCL、Wiproなどのインド企業の評価が高く、「これらの企業は今回の調査で初めてリーダーポジションに入った」という。

 インド企業が成長している理由についてRoehrig氏は、これらの企業が経験を積んで成熟しつつあること、顧客もインド企業の良さを認め、新たな契約に結びつくケースが増えていること、キャッシュフローに問題が起こらないよううまく管理していることなどを挙げる。

 もちろん、古くからアウトソーシング市場でよく知られているAccentureやEDS、Capgemini、Hewlett-Packard、IBMなどもリーダーポジションに位置づけているが、「こうした企業はインドの企業に比べると利益率が低い」とRoehrig氏。インド企業は人件費が抑えられることに加え、伝統的な大企業の中にはハードウェアなどの在庫を抱えているケースが多いこともその理由のひとつだ。

 今回高く評価されたEDSやAccentureだが、「こうした企業が今後も他社を寄せ付けない強さを保てるかどうかはわからない」とRoehrig氏は警告する。成長が顕著なインド企業は、キャッシュフローがあり、利益率も高いため、戦略的に投資するだけの余裕があるためだ。「伝統的企業がだめだといっているわけではない。しかし、こうした企業は今後より価値の高いサービスを提供すべく、柔軟性を持って動く必要があるだろう」としている。

 Roehrig氏は、「この先数年もインド企業の成長は続く」と話す一方で、インド企業の課題も指摘する。それは「インドという国そのものの公共インフラに問題があるため、それが成長の障害になるかもしれない」という点だ。インドでは、電力が不安定で停電なども頻繁に起こるため、こうしたインフラをカバーするために余計なコストもかかっている。ただし、こうした面を考慮しても、インド企業の利益率は欧米の企業より高いとRoehrig氏は話す。

 インド企業の成長が目立つこの市場だが、顧客はアウトソーシング企業を選ぶ際どのようにして選べば良いのだろうか。Roehrig氏は、「どの企業も質の良いサービスを提供できるという点に変わりはない。一番重要なのは、企業同士の相性だ」という。

 「良いビジネス関係が保てそうかどうか、リスクをシェアして協力できそうか、企業カルチャーがマッチしているかといった点が重要になる」とRoehrig氏。こうした面からアウトソーシング企業を見ると、「日本では古くからこの地でビジネスを続けている日本IBMなどが強いのではないか」としている。

 Roehrig氏によると、現在アウトソーシング市場の成長率は約5%〜8%程度。アウトソーシングは、経済状況と反比例して伸びるため、「もし不景気になればこれ以上の伸びを示すかもしれないが、今後数年はこの程度の伸びに落ち着くだろう」としている。特に、「金融業界やメーカーなどでアウトソーシングサービスを利用する企業が多い」とRoehrig氏。同氏は、「テクノロジ企業などはアウトソーシングに消極的な企業もあるが、テクノロジがコアビジネスでない企業であれば、アウトソーシングサービスでITを最大限に活用する方法を考えるべきだろう」と述べた。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連キーワード
経営

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]