企業がティーンエイジャーから学ぶべきこと--アクセンチュアのWeb2.0調査より - (page 2)

山下竜大(編集部)

2007-07-19 17:59

米国や日本ほど保守的に

 それでは企業は、Web2.0のようなイノベーションを、どれほど活用する準備ができているのだろうか。Suh氏は、「早い時期からIT化を行ってきた米国や日本のような先進国ほど企業システムにおける革新に対して保守的な状況にある」と言う。

 米国や日本が保守的にならなければならない理由は、すでに大量の既存システムを持っているためだ。既存システムの運用/保守にコストがかかり、新しいシステムへの投資がままならないのが現状だ。

 「IT化や研究開発への投資はごくわずかであり、そのために犠牲となったのは、顧客と会社の接点であるフロントオフィスの部分。こうしたシステムの老朽化が進んでいることが企業にとって大きな懸念材料となっている」

 だからこそ、Web2.0のようなテクノロジを、いかに企業システムに取り入れるかを検討することが有効になるという。

 たとえば、Procter & Gamble(P&G)は、製品開発に主婦のコミュニティを活用。ターゲットとするユーザーからリアルタイムにフィードバックを得ることができる仕組みをWeb2.0のテクノロジにより実現した。

 また、中国の店舗では、化粧品担当者がモバイル環境を活用することで、販売カウンターから会社に直接ユーザー情報を送信できる仕組みを実現。顧客のリアルタイム分析を実現した。こうした取り組みによりP&Gでは、研究開発期間を大幅に短縮できたという。

 「どんな領域であれ、組織を管理しなければならない企業システムにおいてWeb2.0は有効なテクノロジとなる」とSuh氏。

 たとえば、メインフレーム環境で分析を行う場合には、情報システム担当者にお願いして非常に長い期間をかけてデータを抽出してもらうことが必要だった。しかし、インターネット環境であれば、実際にどのように利用されているかをリアルタイムにモニターし、必要なアクションを明確にすることができる。

 Suh氏は、「Web2.0のテクノロジを企業システムに取り入れることで、顧客が何を気に入っていて、何が気に入らないかをリアルタイムに把握できる。これにより、次に必要な展開を迅速に把握することができる。Web2.0のテクノロジを活用することで、企業間のコミュニケーションをより効果的にすることが可能になる」と話している。

アクセンチュアのスー氏 Robert B. Suh(ロバート・B・スー)
Accentureのチーフ テクノロジ ストラテジストとして、ソフトウェア、テクノロジ、システム統合およびグローバルデリバリに関する戦略設定の責任を担っている。南カリフォルニア大学卒。2005年にノーベル賞を受賞したTom Schelling教授のもと、ハーバード大学で政治経済の修士号を取得している。

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