VoIP NewsウェブサイトへのRobert Poe氏の最近の投稿によると、「SkyStone」という新たなソフトウェア製品は、SkypeのVoIPサービスをビジネス環境に根付かせる強力な足がかりとなるかもしれないという。IPベースの通話を無料または低コストで実現できるため人気を博しているSkypeは、かなり以前からコンシューマーに訴求している。
Skype Technologiesは、最新版のSkypeではビジネス志向の機能を新たに追加し、ビジネス市場に参入してきている。しかし、企業は自社のネットワーク上で従業員がSkypeサービスを利用することに対して、さまざまな理由で慎重な態度をとっている。
SkyStoneはそういった状況を一変させるかもしれない。この製品は、Skeype通話を企業のIP PBXシステムと統合してくれるのだ--CiscoのCallManagerを使用していさえすれば(今後、その他のPBXシステムに対応したSkyStoneのバージョンもリリースされる予定だ)。
ユーザーである従業員の側からみれば、通常の通話に使っている自席の電話をSkype通話にも使えることになる。そして、管理者の側からみれば、SkyStoneをダウンロードし、サーバにインストールすることは簡単であり、自社に適しているかどうかを決定するために試用バージョンを用いて評価することもできる。
Poe氏の記事に好奇心を刺激された私は、SkyStoneについてもう少し詳しく調べてみることにした。その結果としてわかったことを以下に説明している。
SkyStoneの素性
SkyStoneは、CiscoのVoIP製品向けアプリケーションや、ユニファイドメッセージングシステムを開発しているイタリアのソフトウェア会社であるStonevoiceの製品である。2001年に設立された同社は、音声自動応答通知(IVR)マネジメントや、ファクスサーバ、ボイスメール、通話分配、通話課金といったものに関するソリューションを含むアプリケーションを開発している。また、同社は「Stonevoice Translator」といった無償のオープンソースツールも提供している。Stonevoice Translatorを用いることで、同社のアプリケーションスイートで用いられているメッセージを他の言語に翻訳することができる。
SkyStoneの仕組み
SkyStoneは、IPと従来のPBXシステムをSkypeネットワークと接続するゲートウェイ製品である。同製品によって、ユーザーはSkype以外の通話に用いるのと同じ物理インターフェースを使いながら、Skypeの低コストと機能のメリットを享受することができるようになる。つまり、ユーザーは自席にある従来の電話を使って、社外のSkypeアカウントに電話をかけることができるわけだ。Skypeを利用している顧客は、「Click2Call Web」インターフェースを介して会社に電話をかけることができる。また、通常の公衆交換電話網(PSTN)で利用されている、IVRやキューイングといったサービスも利用することができる。
SkypeをPBXシステムと同時に使用することで、従来はさまざまな問題が発生していた--Skypeはプロプライエタリなプロトコルを使用しているためだ。しかし、SkyStoneは標準的なVoIPプロトコル(SIPおよびH.323)をサポートしているため、そういったことは障害とはならないのだ。
SkypeゲートウェイというソリューションはSkyStoneの他にもあるが、その多くはハードウェアをベースにしたものとなっている。これに対して、SkyStoneはWindowsコンピュータ上にインストールされるソフトウェアモジュールだ。SkyStoneを使うために必要となるものは、ネットワークアダプタとインターネット接続だけである(ただし、従来の非IP PBXを用いて接続している場合には、ボイスボードも必要となる可能性がある)。
コスト削減に役立つもう1つの機能は、国際通話がSkypeOutを経由するようIP PBXを設定するというものである。これによって、Skypeの安い通話料金というメリットを享受できるようになる。つまり、この機能を用いると、電話をかける際にSkypeが「仮想キャリア」となり、経費を削減できるのだ。同様に、SkypeInサービスを使うと、PSTNユーザーが電話をかけることのできるSkypeアカウント用電話番号を持てるようになる。そして、SkyStoneはこれらのサービスの双方を、あなたのPBXシステムに統合してくれるのだ。
SkyStoneは、中小企業市場と大企業市場の双方に適している。
セキュリティは大丈夫なのか
もちろん、セキュリティは大きな問題である--そして、社内のIPネットワーク上に新たなソフトウェアソリューションを展開することを現在検討している企業にとって、それは大きな懸案事項となる。実際、セキュリティへの懸念は、一部の企業が社員に対してSkypeクライアントを自社ネットワーク上で実行するのを禁止する理由にもなっている。SkyStone SkypeゲートウェイをDMZすなわち境界ネットワーク上に設定することで、Skypeのトラフィックが直接、保護されているLAN内に入ることを防げるようになる。
SkyStoneを使うと何にいくらかかるのか
これは現時点では大きな謎だ。SkyStoneのリリース日は6月29日となっていたものの、Stonevoiceのウェブサイトでは価格情報が提供されておらず、同社はその製品を認定ディストリビューターやパートナーを通じてライセンス販売するという間接的な販売モデルを採用しているのである。認定販売代理店の一覧は、Stonevoiceのウェブサイトに掲載されている。