さらに前田氏は、「仕事の失敗は必ず回復できる。考えに考えるとそのうち飽きて前向きになれる」と話すなど、気分転換の方法を持つことや、前向きな気持ちを持つことの重要性が示された。
また、家族との関わりはそれぞれがエネルギーの素になると述べ、定塚氏は「子育てを経験している女性の先輩とランチに行って話を聞いたりした。子育てと仕事の両立は、頭で考えることと現実のギャップで悩んだ時期もあった。気軽に構えるとそれなりになんとかなる」と両立の秘訣を明かす。
同氏はまた、「子育ては初めての経験ということがかえって良かったと思う。自分自身も楽しみ、仕事との両立を選択したことに自信を持つことができる。また、子育てでの失敗から学ぶことは、自分の内面的な成長にもなる」など精神面での影響も語っている。
パネルディスカッションの最後に、同イベントのために来日したHewlett-Packard(HP)のエグゼクティブバイスプレジデントで人事業務の責任者であるMarcela Perez de Alonso氏は、「チームや家族の関わりからエネルギーを得て、自分でも気分転換をすることがリーダーの秘訣だと感じた」と話した。
基調講演にも登場したMarcela Perez de Alonso氏は、自身の経験を交えながら、企業でキャリアを積むために必要な心構えや、仕事と生活の両立についても話している。
Marcela Perez de Alonso氏はチリ出身。地元の銀行を経て、シティグループで役職も務めてきた。雑誌の「Hispanic Engineer&Information Technology」が選ぶ「テクノロジとビジネスにおける最も重要なラテンアメリカ系50人」にも名前を挙げられる一方で、3人の子育ても経験している。

講演の中では、キャリアアップのために必要なこととして、上司が何を求めているかを知ること、期限を決めて努力すること、他者の経験から学ぶことの重要性について強調した。
「やりたい仕事に対しては手を挙げて情熱を見せないと上司に興味があると分かってもらえない。目の前には常にできることがある。目の前にあるものを利用して最善を尽くせば成功できる」
1970年代のチリでは、どんな仕事でも女性として初めてと言われることが多かったが、仕事を続けるにあたっては「上司がメンターとなり、学ぶことが多かった」と話す。
転職の際に英語を話せなかった同氏に「3カ月あげるから英語を勉強しなさい」と採用までの期限を与えてもらったこと、子育ての傍ら大学に入りなおしたことなどから、今では自身が「良きリーダーとは人を育てたい人。メンターに恵まれたからこそ、部下の育成に注力していきたい」と考えを述べる。
一方で、エネルギーの源は家族だとも言う。家族や友人、近所とのバランスをとり、責任を共有しあうネットワークを築くことが、仕事の成長につながるという。Marcela Perez de Alonso氏は、「仕事と生活のバランスは女性共通の課題だとした上で、家族との信頼をもとに成長してほしい」と語った。