自社のウェブ担当者に次の2つの質問をしてみればよい。1)シナリオデザインを使用してウェブサイトを構築しているか?2)ペルソナを採用しているか?答えが「いいえ」の企業は、自社のウェブサイトが使い物にならないインサイドアウトなものであることを自覚し、その解決に努めるべきである。
顧客に質問すべきはただ1つ
買い手市場の今日、顧客の満足度を測ることは極めて重要だ。マーケティング担当者は長々とした顧客向けアンケートを取りやめ、「この製品またはサービスを友人や同僚に勧めたいと思いますか?」の1点に質問を絞るべきである。これは、Enterprise Rent-A-CarやIntuitなどの企業が使用している「推奨者の正味比率(Net Promoter Score:NPS)」に使われる質問で、、顧客ロイヤルティを把握して顧客満足度を向上させることができる。この推奨者の正味比率は、顧客をどのように獲得し保持すべきかを企業に認識させる、シンプルかつパワフルなツールである。この指標を考案したFred Reichheld氏の著書「「The Ultimate Question(顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」)」を読むことをお勧めする。
企業が顧客を支配するのではなく顧客が企業を支配している
私の父はFord車一筋だった。評判が良かった「Comet」はもちろん、欠陥があった「Pinto」も購入した父は、いわばFordによって支配され、車の品質やデザイン、価格を問うことなどなかった。
透明性に優れたWeb 2.0では、サービスの質が少しでも低下したりデザインに欠陥があったりすれば、企業は顧客を失うことになる。さらに極端に言えば、オンラインレポートでの評価が悪かったり、ブログで酷評されたりしただけでも命取りになりかねない。
この問題への対抗手段は、第3のアドバイス(紹介した上記の質問で競合他社よりも顧客を理解すること)と最初のアドバイス(アウトサイドインの視点が必要)に従うことだ。顧客の信頼と忠誠は一度たりとも失ってはならない。2006年のDellバッテリ回収問題を見ればわかるとおり、顧客の信頼と忠誠は瞬く間に消えうせる可能性があるのだ。
そういえば、Dellはこの問題にどのように対処しただろうか。ブログを介して顧客の意見を汲み取り、双方向の対話を行うという、典型的なWeb 2.0戦略に乗り出したのだ。2007年春に立ち上げられた「Ideastorm」サイトでは、顧客がDellに提案したり投票したりできる。その結果、Dellの顧客ロイヤルティ指標は回復の兆しを見せている。