MIJS企業訪問(第6回)ヴィンキュラム ジャパン--パッケージ連携とアウトソーシングの両面からMIJSに貢献 - (page 2)

山下竜大(編集部) 2007年09月05日 12時00分

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POSを中心にシステム全体に拡大、そして世界へ

 MIJSは、どんな企業でも参加できるわけではない。国産ソフトウェア製品を開発していることはもちろん、各社それぞれがビジネスを展開している分野で製品がトップレベルのシェアを持っている企業であることが必要になる。

 ヴィンキュラム ジャパンのストアシステム事業部 企画グループ ITスペシャリストである松野訓之氏は、「我々が提供しているオープンPOSパッケージのANY-CUBEは、POSシステムの分野ではトップレベルのシェアを持っているのでこの条件は満たしています」と話す。

 当初、POSシステムを開発するためには、各メーカーから提供されているPOSレジの仕様にあわせてソフトウェアを開発しなければならなかった。そのため、POSレジごとにソフトウェアを開発する必要があり、またメーカーがPOSレジの仕様を変更すると、それにあわせてソフトウェアも改良しなければならなかった。

 しかし1995年7月、マイクロソフトを中心にOLE POS技術協議会が発足される。同社は、この団体に参加することで、OLE POS対応のパッケージをいち早く開発し、市場投入を開始した。

 しかしPOSパッケージ製品を開発したからといってすぐに導入が促進されるわけではないのが実情だった。POSシステムは、接客業務で使用するために、接客中にシステムを止めるわけにはいかない。そのため、導入実績が重視される。

 そこで、まずはマイカルグループ内に展開し、次にマイカルグループと取り引きのある企業へと展開することで実績を作ることからスタートした。また、ハードウェアメーカーと共同でOEM提供も進めていた。

 ただし、そのころには“マイカル”というブランドが大きかったために、競合の流通系会社には販売することが難しかった。その後、2001年にマイカルグループが経営破綻したために、社名を現在のヴィンキュラム ジャパンに変更。松野氏は、「社名変更により、これまで競合だった企業にも製品の拡販ができるようになったのは不幸中の幸いでした」と言う。

 同社のパッケージ製品に導入実績が出てくると、これまでメーカー主導だったソフトウェアが、ユーザーおよびソフトウェアベンダー主導の市場に変化してきた。松野氏は、「ハードウェアに依存しないソフトウェアを導入できることで、システムの導入、運用、更新コストや開発期間を大幅に削減することが可能になりました」と話している。

 また今後は、POSシステムを中心に、ERPやCRM、ポータルなど、さまざまなシステムとの連携が重要になる。製品間の連携は、これまでのピア・ツー・ピア型の連携であればすでに実績もあり、それほど難しくはない。しかし、すべてのパッケージをつなげることができる標準仕様を1社で策定するのはかなり難しい作業になる。

 松野氏は、「MIJSにも参加しているインフォベックのGRANDITなどのERPパッケージやエス・エス・ジェーのSuperStreamなどとは、MIJS参加以前より連携実績があるので、このあたりからスタートするのが現実的でしょう。標準化を進めていくのは難しいことですが、標準化を進めていくことは不可欠なのです」と話している。

 同氏はまた、MIJSの取り組みを推進することで日本市場だけではなく、特にアジアを中心としたグローバルな市場へも進出できることに期待している。日本のスタンダードは、世界のパッケージに比べ引けを取らない。ただし、だからといってすぐに世界に持っていっても使い物にもならない。

 「良い例が携帯電話です。日本の携帯電話は機能的に優れていても、世界的なシェアで見るとノキアやモトローラに遠くおよびません。機能としての差別化ではなく、システム全体としていかに差別化し、グローバルで競争していくことができるかを模索することが重要になります」と松野氏。

 同氏は、「MIJSの中で我々は、他の企業と重複しないパッケージを提供しているので、一緒に世界へ進出しましょうと言いやすいポジションにいると思います。あとは物流系のパッケージを持っている企業がMIJSに参加してくれれば、必要なパッケージのすべてがMIJSで調達できます」と話している。

 ヴィンキュラム ジャパンでは、プロダクト単体でのシェアを拡大していくことはもちろん、他の製品との連携により、さらに広い分野でのシェアを拡大していきたいと考えている。そのためにも、MIJSでの取り組みは、同社にとって重要な戦略の一角を占めているといえるだろう。

ヴィンキュラム ジャパンの松野氏 ヴィンキュラム ジャパンのストアシステム事業部 企画グループ ITスペシャリスト、松野訓之氏。

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