「なぜ、こうした取り組みをCitrixは続けるのか。それは、アプリケーションが重要だからだ。アプリケーションがなければ、コンピュータはただの箱であり意味をなさない。そこで、アプリケーションをデリバリすることにフォーカスした」とTempleton氏。
現在のIT環境は、さまざまなネットワークやプラットフォーム、デバイスなどの登場により、アプリケーションのデリバリが複雑になっている。この問題をいかに解決するかが企業のIT担当者にとっても大きな課題のひとつとなっている。
こうした課題を解決するために発表されたのが、Citrixのエンド・ツー・エンドのアプリケーションデリバリインフラストラクチャ戦略だ。同戦略は、次の3つの取り組みにより実現される。
- すべてのアプリケーションをサービスとして提供する。
- すべてのデータセンターをダイナミックにする。
- デスクトップ環境をサービスとして提供する。
アプリケーションのダイナミックなデリバリ環境を実現することが、エンド・ツー・エンドのアプリケーションデリバリインフラストラクチャ戦略のゴールとなる。
具体的には、まずアプリケーションをサービスとして提供するために、Citrix Presentation Serverを強化していく。また、ダイナミックなデータセンターの実現、デスクトップ環境のサービス化については、同社が買収したXenSourceのテクノロジを活用していく。
データセンターの仮想化には「Citrix XenServer」を、デスクトップの仮想化には「Citrix XenDesktop」をそれぞれ活用していくことは、すでに発表されているとおり(関連記事参照)。
「現在のデータセンターは、ほとんどがワークロードとサーバが1対1の関係にある静的なもの。これでは、効率的にデータセンターを活用しているとは言い難い。IT専門調査会社であるIDCの調査では、現在、利用されているx86サーバの9%しか仮想化されていないと報告されている」(Templeton氏)
仮想化インフラを活用することで、ワークロードとサーバの関係を切り離し、より柔軟でダイナミックな、変化に強いデータセンターを構築することができる。これを実現するのがXenSourceのテクノロジとなる。
Templeton氏は、XenSourceの共同創設者でXenプロジェクトのリーダーであるIan Pratt氏を紹介し、基調講演のステージに登場させた。
Xenは、ケンブリッジ大学におけるハイパーバイザー(ひとつのプラットフォーム上で複数のOSを稼働させるテクノロジ)の研究からスタートし、2002年末にオープンソースに公開された仮想化テクノロジ。その後、コミュニティから利用されはじめ、今ではIBMやHP、Unisys、Fujitsuなど、多くの企業で活用されている。
Pratt氏は、今後のXenの可能性について「IBMやHP、Unisys、Fujitsuなどの企業は、Xenをより良くするために、さまざまな努力を行ってくれている。Xenはサーバ技術として登場したが、今では、デスクトップでも活用されている。さらにSamsungでは、携帯電話でXenを活用することも発表している」と話している。