非常に優れた1つの文書規格というものは、決して存在しないようである。
文書フォーマットをめぐる大きな論争に新たな展開が生じた。「OpenDocument Format(ODF)」推進派の一部が、同規格からWorld Wide Web Consortium(WC3)の「Compound Document Formats(CDF)」規格へと転向し始めたのである。
理由は、ODFファイルを「Microsoft Office」アプリケーションと共有する際に、技術的な制約が存在するからである。
OpenDocument Foundationを設立したGary Edwards氏は2006年、「OpenDocumentでは市場の要求を満たすことができない」と述べた。「そもそもOpenDocumentは、市場の要求を満たせるような設計になっていないのだ」(Edwards氏)
Edwards氏は同僚らとともに2006年初め、MicrosoftのOffice文書フォーマットとODFの間の変換を実行するプラグインを開発するためのプロジェクトを開始した。これは、ODFの使用を義務付けたマサチューセッツ州からの提案要求に応じたものであった。
同氏は、ODFを開発する標準化団体OASISのオープンソースプロジェクト認可を得るために、OpenDocument Foundationを設立した。
そのプラグインの開発を試みる中でEdwards氏は、OfficeフォーマットとODF間の文書変換において「忠実性」を維持する上でのいくつかの技術的な問題に直面したという。
そのため同氏のグループは現在、Officeと、まだ開発中のWC3のCDF間のコンバーターの開発に目を向けているという。すでにCDFを用いた実装例としては、携帯電話で文書を読むことを目的としたものがある。
Edwards氏は、「CDFを見てすぐに気がつくことは、OpenOfficeにおけるリストやテーブルの実装方法による制約に縛られて作業する必要がないという点だ。ODFには、OpenOfficeの方法が直接反映されている」と述べた。
同氏は、Microsoftの幹部が長い間ODFに関して述べていたのと同じことを述べている。つまり、それは、Microsoftのライバル企業であるIBM、Sun Microsystems、Novellが推進するオープンソースのデスクトップアプリケーションスイートであるOpenOffice特有の問題であるという。
Microsoftの企業標準担当ディレクターJason Matusow氏は、Edwards氏と彼の同僚であるSam Hiser氏のCDFを対象とするという決断は、異なる目的に対して多くの文書フォーマットが出現していることを表していると述べた。他の例としては、中国の国内標準規格団体が、Unified Office Format(UOF)と呼ばれるフォーマットを推進しているケースがある。