AndroidのエンジニアリングディレクターであるSteve Horowitz氏は次のように語っている。「我々のチームにはJavaコミュニティーで精力的に活動しているメンバーが参加している。彼らが情報を提供し、助言を与えてくれたおかげで、AndroidをJavaコミュニティーの人々になじみのあるものにすることができた」
分断化が加速するか?
しかしそれよりも大きな問題がある。Googleの取り組みは、すでに分断化されているJavaの世界をさらに悪化させると考えられるからである。Javaは本来、「write once, run anywhere(一度書いたプログラムはあらゆるプラットフォーム上で実行可能)」のはずである。しかし実際には、すべての携帯電話が同じJava規格に準拠しているわけではない。そのためプログラマーは、自分が作ったソフトウェアが多様なデバイス上で動作するかどうかを確認することができない。
「GoogleはJavaを使っているが、よく知られているJavaフレームワークは実装していない。実際には、サポートしなければならない別の規格を作り出しているにすぎない。これはつまり、市場をさらに分断化させてしまう可能性があるということだ」。Trolltechの最高技術責任者(CTO)であるBenoit Schillings氏は、CNETの編集者Maggie Reardonにこのように語ったという。Trolltechは、PC上または携帯電話上で使用するソフトウェアを開発するプログラマーのために、各種のツールやコンポーネントを販売している企業である。
携帯電話向けに動画ストリーミングを提供するMovidityの最高経営責任者(CEO)、Mauro Lollo氏もGoogleの取り組みに同様の見方をしている。「要するに彼らは、別の規格を作り出した。規格を作るのはいいことだが、問題は数が多すぎる」(Lollo氏)
Googleはオープンソースソフトウェアに共通するリスクも抱えている。オープンであるということは、プログラマーがそれぞれ別の、互換性のない方向に「枝分かれ」したプロジェクトを立ち上げられるということを意味する(実際のところ、Sunが最終的にJavaをオープンソースソフトウェアとするのを躊躇した理由の1つはこれである)。「最後には、互換性のないAndroid技術のバージョンが20種類作られるという事態もありうる。なぜなら、誰でも使用許諾を得て修正を加え、別のバリエーションを作れるからだ」(Schillings氏)
Sunとしては、モバイルデバイスでJavaやオープンソースソフトウェアを使用することは支持しているが、Googleのアライアンスに参加することについては懸念を表明した。「我々はGoogleエコシステムの一員であることに関心を持っている。しかし同時に、このプログラムがどのような事態を引き起こすかについて見きわめることにも関心を持っている」。Sunのソフトウェア部門担当エグゼクティブバイスプレジデント、Rich Green氏はこのように発言している。