「やはりOracle DBは高いと思っているユーザー企業は多いと思っています。たとえばバックアップの機能を取ってみても、同じものを2つ用意しなければならず、コストがかかってしまう。EnterpriseDBは、Oracle DBを高いと思っているユーザー企業の置き換えを狙ったものです。5分の1以下という価格もそのためです」
同氏がこうした考えを持つのは、米国での実績があるからだ。
米Sony Online Entertainmentは、Oracle DBのライセンス料がIT予算を圧迫しているという問題点を認識、その解決策としてEnterpriseDBを選んでいる。この解決方法で、同社では年間約1億円のコスト削減に成功しているという。
同様の事例はまだある。VoIPプロバイダーである米Vonageは、Oracle DBの保守と新規開発のライセンス費用は高すぎるとの課題を抱えている。そうした同社では、MySQLへの移行も考えたが、MySQL上で開発したアプリケーションはスケーラビリティに欠けるという判断から、EnterpriseDBを選択している。
そうしてVonageでは、EnterpriseDBをMySQLとOracle DBの中間的位置付けとして採用したことで、新規に企業向けインスタントメッセージング(IM)サービスを開始、また十分な機能とコスト削減を実施しているという。
5億円は最低限の目標
コンテンツ・ロジに入社する前は、CSKグループで商用ソフトでのシステム構築・サポートに従事していた八神氏は、EnterpriseDBのことを知ったとき最初は「価格が何でこんなに安いんだろうと驚きました。多少使い勝手が悪かもしれないが、商用ソフトと比べて遜色(そんしょく)ないもの」という印象を持っていたという。
その考えは今でも変わらずむしろ、「Oracle DBはなぜこんなに高いのだろうか」「そこまでお金を取らなくてもいいんじゃないか、付加サービスが多すぎるんじゃないか」という考えを持つまでに至っている。そうした疑問を持っているからこそ、同社では初年度5億円の売り上げを「最低限の目標」としているのである。
この目標を達成するため、「企業ユーザーに直接販売をかけていくこともある」(同氏)が、メインはパートナー企業経由での間接販売で、拡販をかけていく方針だ。すでに「2社からパートナー企業としての内諾を得ている」(同氏)という。同社は独立系であることから、ニュートラルな立場で、大手システムインテグレーター(SIer)などのパートナー企業と提携していきたい考えだ。