経済産業省所管の財団法人日本産業協会が12月に発表した統計によれば、日本産業協会が設置した迷惑メール受信用端末(モニター機)が受信した迷惑メール数は、10月に過去最高(6万1千超)を記録したものの、11月は国内発、海外発ともに10月を下回ったという。受信減の要因として、海外発のメールに著しい減少傾向が見られたためだという。
国内発では、11月も迷惑メール送信者が、個人名などを用いてISPと契約し、取得した固定IPアドレスからの迷惑メールの送信が行われていることが確認されたという。また、送信者は複数の固定IPアドレスを、送信の際に使い分けていることも判明した。こうした行為は契約ISPへの通知により一旦は送信が止まるもの、異なる個人名で新たな固定IPを取得し、送信を繰り返している行為が確認されているという。
媒体別受信数推移では、パソコンによる受信が主流となっている。これは、携帯各社が迷惑メール対策を導入したことが功を奏したもので、2006年後半以降は携帯端末とパソコンの受信数が逆転している。
悪質なメールのトレンドとしては、芸能情報などを装ったメールが挙げられている。このメールから、一見普通のサイトや人気ブログに誘導する手法で、Webページの画像や文字をクリックすると、いつの間にかアダルトサイトに登録されてしまう「ワンクリック詐欺」「ツークリック詐欺」が増加傾向にあるという。
日本産業協会では、実際は有料でありながら「全て無料で使える!」などの表現でサイトへの登録を促すメールやサイトは、消費者に誤認を与えることから、特定商取引法第12条「誇大広告等の禁止」に該当する可能性があると警告。また、「無料メール送信」をクリックすることで有料のサービスに登録させることは、特定商取引法第14条「意に反して契約の申し込みをさせようとする行為」に該当する可能性があるとしている。
このほかの傾向としては、大手SNSと類似するサイトの増加が挙げられる。心当たりのない招待状メールを受け取ったときには注意が必要だ。また、メールアドレスや電話番号などを安易に知らせると、大量の迷惑メール、ショートメールを受信することになるだけでなく、無用なトラブルに巻き込まれる可能性があることも指摘されている。
日本産業協会では、子どもが不意打ち的に有害サイトの被害にあわないよう、フィルタリング機能の利用を勧めている。パソコン向けには、フィルタリングソフトや、フィルタリングサービスなど、さまざまな方法があり、携帯電話向けには各携帯キャリアがフィルタリングサービスを提供している。
実際にトラブルやいたずらに巻き込まれた場合には、「消費生活センター」、または「日本産業協会 相談室」へ相談しよう。