雪の北陸先端大に新たな協業の種--「どんな花が咲くか楽しみ」とマイクロソフト社長

山下竜大(編集部)

2008-02-20 08:35

 マイクロソフトと国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学(北陸先端大)は2月19日、最先端の教育/研究環境の実現と国際競争力のある人材育成を目的とした協業関係の強化を発表した。これにより包括ライセンス契約を含む全学的なインフラの構築と積極的なインターンシップを展開する。

 包括ライセンス契約は、高等教育機関を対象としたマイクロソフト製品の新たなライセンス契約。従来のボリュームライセンス契約では、PCの台数をベースとしていたが、新しいライセンス契約では利用者の人数をベースとすることで、ライセンス管理の効率化やコストの削減などのメリットがある。

 北陸先端大の情報科学センター長、松澤照男氏は、「学生サービスの向上やソフトウェアへの投資抑制、ライセンス管理の軽減、コンプライアンスの向上など、さまざまな効果が期待できる」と話す。たとえば、これまでライセンスあたり3万7500円だったMicrosoft Office Enterpriseを、学生は年間1700円、教師は年間3400円で利用できる。

 また、全学的なインフラ構築では、Microsoft SoftGrid Application Virtualization(SoftGrid)を日本で初めて導入。多言語かつ複数バージョンのアプリケーションが利用できるPC環境を実現した。これにより、留学生が日本語、英語に加え、母国語で、アプリケーションを利用することが可能。学生へのサービスを向上できる。

SoftGrid SoftGridで仮想化されたアプリケーション環境。Windows上で英語版のPowerPoint 2007と日本語版のPowerPoint 2003が同時に立ちあがっている。※クリックすると拡大画像が見られます

 「包括ライセンス契約により、一般的なPCのライフサイクルを4年とし、そのコストを試算すると従来のボリュームライセンス契約に比べ62%のコスト削減が可能。一方、SoftGridの導入によるアプリケーションの配信管理により、不正コピーや不正利用などを防ぐことも可能。コンプライアンスの向上も期待できる」(松澤氏)

 さらに積極的なインターンシップの実施について、マイクロソフトの文教営業本部長である反町浩一郎氏は、「詳細は話し合い中だが、1回に数名のインターンを数カ月、マイクロソフトの調布技術センターで受け入れる計画だ」と話している。

 北陸先端大は、全学生の18%が留学生で、常勤教員の11%が外国人という国際化大学。2008年度から「新教育プラン」と呼ばれる新しい教育体系を全校的に採用し、学生たちが実社会に触れながら高度な研究を続け、科学者/技術者として成長するためのインターンシップ制度などを積極的に展開している。

 北陸先端大の学長、潮田資勝氏は、「今回の協業強化の意義は、包括的なライセンス契約によりコストの削減やソフトウェア資産管理の効率化を実現できたことはもちろんだが、さらに積極的なインターンシップを実施できることが重要。世界水準の教育/研究環境を提供できると共に、社会に役立つ高度な人材育成を目指していきたい」と言う。

 一方、マイクロソフトの代表執行役 社長、Darren Huston氏は、「我々は、2007年6月に石川県金沢市に北陸支店を開設。北陸3県における企業や自治体、教育機関との連携を通じ、新たなビジネスの創出や地域に密着したビジネス機会の拡大、地域貢献を目指した取り組みを展開してきた。今回の発表はその取り組みの一環であり、新たなスタート。新しい種からどんな花が咲くか楽しみだ」と話している。

ヒューストン社長と潮田学長 握手する北陸先端大の潮田資勝氏とマイクロソフトのDarren Huston氏。

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