また、2005年8月に米国で開催されたカンファレンス「SES 2005 San Jose」では、LPO、つまりランディングページ最適化が広く認知されるようになった。2005年以前からLPOという考え方は存在していたが、検索エンジンの向上により、ユーザーがECサイトの商品詳細ページに直接ランディングすることが増えてきたのがこの頃だ。
商品詳細ページにランディングしたユーザーは、そのまま購入に至るか、他の商品を自発的に探すためカテゴリページへ戻るか、離脱してしまうかの3パターンだ。そこで必要になるのが、離脱するユーザーの潜在的ニーズに応え、多くの商品を自動的に表示するレコメンド技術なのだ。
「ユーザーにより多くの商品を見てもらい、より多くのユーザーをコンバージョンに結び付ける」というECサイトのマーケティング活動の目標は、今も昔も変わらない。レコメンド技術は、商品と商品をつなげることでユーザーの潜在的ニーズをつかむ便利な機能を提供するもので、こうした機能にマーケティング担当者が目を奪われるのも当然だ。これらを実現する詳細な機能については、この連載で順に紹介していく予定だ。
ソリューションの低価格化が進む
機能面以外にもレコメンドが注目される理由のひとつに、ソリューションの低価格化が進んでいることが挙げられる。従来のレコメンドソリューションは、総合CRMパッケージの一機能として提供されていたケースが多く、投資コストも大きかった。それが、2005年ごろからレコメンド機能を切り出して低価格化したASP(Application Service Provider)型ソリューションが登場し、導入コストが大幅に低下した。
例えば、私の所属するケイビーエムジェイや、アルベルトなどのレコメンドソリューションは、ASP型で月額費用10万円台から利用できるようになっている。また、シルバーエッグ・テクノロジーなどが提供するような、成果報酬型のレコメンドソリューションも存在する。このように、低価格化や導入のしやすさを工夫したソリューションの登場により、価格や開発コストの参入障壁も軽減され、マーケティング担当者が決算可能な範囲のソリューションとして多くのサイトで導入が進んでいる。
このようにレコメンド技術は、ネットマーケティングの変化とソリューションの低価格化から、再び話題になっている。しかしながらこの技術はまだ発展途上で、精度の向上や新しい表示方法など、さらなる開発が進められている。
次回は、技術的な部分にも踏み込んだ「レコメンド技術の種類」について解説したい。
筆者紹介
高島理貴(たかしま まさき)
ケイビーエムジェイ インターネットプロダクト&マーケティング事業部 プランニング&コンサルティング グループ アクセス解析チーム チームリーダー Newビジネス企画 担当。埼玉県生まれ。年間総計30億ページビュー以上のサイトを解析し、クライアントのサイトの成長をお手伝いするアクセス解析コンサルタント。