What's up, man?
皆さん、英語を楽しんでいますか? 新しい出会いや発見がありましたか? 英語を学習すると、新たな可能性や出会いが生まれ、たくさんの奇跡をおこします。是非皆さんにもそういう経験をしていただきたいと思っています。
タイミングを逃さず会話するために
前回、3文型の話をしましたが、その理由を少し補足させていただきます。皆さんは英語の勉強を義務教育だけでも最低3年はしているはずです。この間、5文型を基礎に様々なバリエーションを文法として学んでいます。それが必要でないと言っているわけではありません。しかし、3年間の教育を受けながら全く会話ができないことに問題意識を持っているわけです。それはなぜなんだろうと。
グローバルで仕事をしていると様々な国の人達と接することになりますが、日本ほど高度な教育を受けていながら英語ができない国はないと驚かされます。英語は別に大学で専門に勉強しなければできないようなシロモノではありませんし、日本では大学で勉強していても英語が話せない人は珍しくありません。
そこで私が考えたのは、知識ではなく思考プロセスの問題ではないのかということです。私はコミュニケーションとして会話を重視します。インターネットの急速な発展で、仕事はメールのやり取りで済むようになりました。しかし、こんな時代だからこそ会話を大事にしたいと思うのです。私は、出会いの初期段階でなるべく会話をしようと心がけています。できれば、アポを取って訪問し、直接会話する。相手が遠方の場合は、少なくとも電話で会話する。これだけで2人の距離はぐっと縮まり、そのあとのコミュニケーションが円滑に進むのです。
声を聞く、顔を見る、これだけのことで関係は親密になります。その時に必要なのはタイミングです。最初の出会いからどれだけ短期間で会話ができるかで、相手の姿勢が感じられ好感となるのでしょう。その時に、現在完了や仮定法などの文法を駆使した表現が大事でしょうか? もちろん、ニュアンスを伝えるために少しでも言葉で表現できるにこしたことはない。しかし、そういった文法を知らないからといって会話のタイミングを失うのでは本末転倒です。だからこそ、3文型だけを使って会話してみましょうという意味なのです。
思考プロセスを見直そう
英会話に慣れていない日本人が英語を話すときの思考プロセスは、
- 日本語を頭に思い浮かべる
- その日本語を忠実に英訳しようとする
というパターンが大半だと思います。このパターンだと、次のような状況に陥ってしまうのではないでしょうか。
アメリカ人の経営コンサルタントAさんと話していると、彼が妙にコンピュータプログラムに詳しい。よく話を聞いてみると、学生時代にゲーム好きでソフトウェア開発のベンチャー企業を立ち上げたことがあると言う。そこで一言、「どうりでコンピュータに詳しいと思ったよ〜」と言いたい。
頭にその日本語が浮かぶ。頭から英訳しようとする。「どうりで」って英語で何て言えばいいんだろう? 漢字では「道理」って書くんだよなあ、でも「道理」そのものの意味は何だろう? それより、「思った」ってことは過去形だよな。でも思ってるのは今だしな。ん? 確か現在完了形には「完了」「経験」「継続」という意味があったから、もしかするとこれは結果を意味する完了形で表現しなくちゃいけないのか?
……と、長々と文法について考えている間にパニックとなり、会話のタイミングを逃してしまう。焦りと後悔を引きずって、次の会話でも乗り遅れる。
極端な例を出しましたが、似たような思考プロセスをしている人もいるのではないでしょうか。
英訳型の思考プロセスは柔軟性がありません。例えば、ラッキーなことにあなたが英会話の教科書で学んだ「どうりで〜」を「No wonder〜」と覚えていたとします。しかし、最初に思い浮かんだ日本語が「やっぱり」や「なるほど」だった場合、同じように「No wonder」が出てくるでしょうか? バリエーションのある日本語にそれぞれ英訳を対応させて覚えるのは至難の技です。