消費者にとってより魅力的な商品やサービスを開発する為には、リアルタイムで精度の高い情報が求められます。リリースした製品の市場での評価は、売上だけではなく、Blog等のメディアやコールセンターに集められたクレーム等、集められる全ての情報を総動員しなければなりません。売上に関しても月に一度の営業会議からのレポートではスピード経営にはついていけません。リアルタイムに店舗毎の売上推移を見ながら次の商品戦略を練る事までも求められてきているのです。
経営者の意思決定にこれら膨大な情報が必要なのは理解できると思います。しかし、膨大なデータを集める事、そして分析する事は時間と労力を要します。時間がかかってしまっては競合他社に遅れをとってしまいます。しかし、大量のデータを集め、分析するのは、ITの得意技です。スピード経営にとって重要な意思決定の精度と迅速化をはかる為に情報を集め、分析し、傾向値を掴んだり意思決定に効率的な形にレポートをまとめたりするシステムがあります。それをBI(Business Intelligence)と呼びます。
経営のスピードにITを追従させるのがSOAだとすれば、経営そのもののスピードをITで速くすることを手伝ってくれるのがBIです。
また、BIの縁の下の力持ちとして、膨大な情報をしまっておく情報の倉庫の事をDWH(Data WareHouse)と呼びます。DWHは、流通業でいち早く活用されたのでその利用形態からPOS情報を格納しているイメージが強いのですが、経営の意思決定に係わる情報であれば何でも構わないので、どんな情報をDWHにしまっておくのかは企業ごとに異なるはずです。
BIは、経営者の意思決定に大きな助けとなり得ます。優れた経営者は、どんな情報を集め、それをどう分析し、どう戦略にいかすのかを知っています。それが経営者の仕事だからです。パッケージベンダーのBIの提案をあくびしながら聞くのではなく、自分の会社にとって、また、経営者としての自分にとって、どんな情報がどんなタイミングで必要かを整理し、パッケージベンダーやSIerに対して、逆に提案してみるくらいの感覚をもっていただきたいと思います。ITに振り回されるのではなく、ITを活用する。経営者の皆さんのITに対する接し方が少しでも変わっていただければ幸いです。考えるのはベンダーではなく、あなた自身なのです。
Peace out,
Eric
筆者紹介
エリック松永(Eric Matsunaga)
Berklee College of Music、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科(修士)卒業。19世紀の米国二大発明家Graham Bellを起源に持つ米国最大の通信会社AT&Tにて、先進的なネットワークコンサルティングの領域を開拓。その後アクセンチュアにて、通信分野を柱に、エンターテインメントと通信を活用した新事業のコンサルティングをグローバルレベルで展開する。現在、通信業界を対象にした経営コンサルタントとして活躍中。