このように一個人を顧客とし、その対象数が億単位でも対応可能とするRightNowは、時々刻々と変化するユーザー企業・団体のニーズに対応するために、3カ月ごとに新機能を追加している。最新版となる、今回のAugust '08では、(1)カスタマーポータル、(2)コブラウズ、(3)プロアクティブチャット――という主に3つの新機能を搭載している。
(1)のカスタマーポータルでは、ユーザー企業・団体が、自社の製品やサービスに関連した情報を集約して掲載できるというものだ。具体的には、自社製品やサービスに関連した動画、オンライン百科事典にある関連情報、提供する製品やサービスについてのクチコミ情報、そのほかウェブ上での検索結果などの情報を一括して提供、いわば自社製品・サービスのポータルを提供することができるというわけである。そのイメージとしては、Googleが提供するパーソナライズドホーム「iGoogle」のように、動画からクチコミ情報などまでを揃えることができるようになる。
(2)のコブラウズ(Co-browse)の機能は、顧客から電話やチャットで問い合わせをしているときに、顧客との了解を取ったうえで、コールセンター/コンタクトセンターのオペレーターが、顧客が利用しているPC画面を共有できるというものだ。この機能を利用することで、実際に目で情報を確認しながら、互いの認識のズレを防止、それとともにファーストコンタクトでのトラブル解決率を向上させることもできるようになる。
また、この機能を利用することで、ウェブサイトの訪問者に過ぎなかった人間を購買に導くことも可能であり、購買行動を促進することで、売り上げに貢献できるような状況を作り出すこともできると同社では説明している。コストセンターとされがちなコールセンター/コンタクトセンターの位置付けをプロフィットセンターに変貌させるという可能性を秘めていると言えるだろう。
(3)のプロアクティブチャットでは、一定の条件で定義された状況で、ウェブサイトを閲覧している顧客を動的にチャットに招待し、企業内部の人間とチャットできるという機能だ。一定の条件とは、たとえば一定の時間以上ウェブサイトを訪問している、あるいは、特定の数以上の検索をウェブサイト上で行っている、またあるいは、顧客のプロフィールなどの属性、などのさまざまな条件を定義することができる。ウェブサイトでのチャットでトラブルや知りたいことを解決できるようになれば、電話での問い合わせへの移行を抑えることができるなどのメリットがある。