ネットワーク上に分散するビジネス
ビジネスのネットワーク化はすでに起こっている現実だ。たとえば製造業において、最終的な在庫を確保するためには、パートナーから調達する部品を管理しなければならない。小売りにしても、仕入れ先の調達を管理しなければ、在庫の制御は難しい。より早い段階でこれを行うには、パートナーの調達状況を知る必要がある。逆にパートナー側に自社の在庫状況を知らせれば、かれらもプロアクティブに動くことが可能になる。いまや、パートナーを巻き込んだビジネスのあり方が早く正確な意志決定につながるというわけだ。
企業と企業がリンクした新しいビジネスのあり方が、ビジネスネットワークということになる。そして、ビジネスネットワークにおいては管理すべき情報が多くの企業に分散する。
単一の企業内でも近いことがかなり前から起こっている。国内の製造業でも中堅程度の規模になると中国をはじめとした海外生産拠点を持つことが一般的になっている。必要な情報が国内の本社と複数の海外拠点に分散しているわけだ。
さて、こうした状況ではITは非常に複雑な状況になる。多くの企業が全拠点を単一のERPプラットフォームに統一し、物理的に分散した情報を1カ所で中央集権的に集中管理しようと考えるが、レガシーシステムの問題もあり、現実的にこれを達成できた企業は少ない。たとえ達成しても、M&Aや状況の変化により、次の瞬間にはどこかの拠点に異なるアプリケーションが現れる。結果、拠点ごとに異なるいくつものアプリケーションが混在することはさけられない。もちろん、ビジネスネットワークの世界でパートナー企業に対して同じERPの採用を強要することなどできない。
巨大なERPパッケージをすべてに適用し、すべての情報や機能をそこにつなげ、集約していくのは理想的だが、実際には無理がある。つまり、ビジネスがネットワーク型に分散している以上、それを扱うITも集中管理は不可能であり、分散を現実問題として許容したうえでどう扱っていくかを考えなければならない。しかも、しかも、見える化やガバナンスの適用といったエンタープライズの要件はみたさなければならない。Inforは「1970年代には部署別で、90年代には企業全体に拡大する形で、情報の扱い方を最適化してきた。しかし、これをネットワークという形に移行させるには全く新しいアーキテクチャーが必要となる」と表現する。
さて、この現実を把握したうえでInforのOpen SOAアプローチを見てみよう。