EMCジャパンは11月4日、都内にて開催中の「EMC Forum 2008」の会場にて、「次世代データセンター向けコンサルティングサービス」を発表した。EMC Forum 2008のテーマは「グリーンITを実現する企業情報インフラの全体最適化」となっており、新サービスもインフラの全体最適化を実現するものとなる。
EMCジャパン 代表取締役社長の諸星俊男氏は、データセンターの床面積や消費電力が2012年には2007年の約2倍になるというミック経済研究所の調査結果を示した上で、「こうした状況からも、データセンターを効率化したい、移転させたいという要望は高い。これまでEMCでは、こうした要望に個別に対応していたものの、体系化してはいなかった。ニーズがより高まってきたことから、新しいコンサルティングメニューとして体系化することにした」と、新サービスを提供するに至った背景を説明した。
新サービスが「次世代データセンター」を対象としている理由について、同社 執行役員 テクノロジー・ソリューションズ本部長の有安健二氏は、「データセンターの位置付けが変わりつつあるためだ」と話す。これまでデータセンターは、サーバの数やソフトウェアの種類などを中心とした中身の議論が多かったが、ITがサービスになりつつある今、データセンターもこの変化に合わせて変わる必要があるというのだ。
「これまでITインフラと呼ばれていたものは、電気や水道のような本当のインフラにはなっていなかった。実際の電気や水道は、どこからどのようにやって来るのか、利用者側が気にすることはない。IT=サービスとなるためには、データセンターも利用者が意識しなくて済むようなものでなくてはならない」(有安氏)
EMCが提供する新サービスは、主に4つのメニューからなる。その4つとは、1.データセンター統合・移転のコンサルティングサービス、2.ITインフラ最適化サービス、3.運用管理最適化サービス、4.IT-BCP(IT事業継続計画)策定支援サービスだ。これらのサービスすべての基本となるのは「グリーン化」で、「エネルギーやコスト、資産のすべてを効率化するのがグリーン化だ」と有安氏は説明する。
同様のコンサルティングサービスを提供する企業もあるが、EMCならではのサービスの特徴として有安氏は、EMCが持つIT資産情報および構成情報の自動収集ツール「Smarts」を活用し、短期間で的確に情報が収集できることや、マイグレーションデータベースツールでアプリケーションの相関関係と移転計画の策定ができること、ミッションクリティカルなシステムでも安全にデータ移行ができること、ワールドワイドにおいて数多くの実績があることなどを挙げている。
データセンター最適化にかかる期間は、まず分析や方針策定、コストの検討などの計画段階に約3カ月、実際の構築には数カ月から約1年とさまざまだ。日本では、コンサルティング部門に約20名の専属コンサルタントを配備し、実際の構築などは技術者約350名が担当する。
ストレージベンダーであるEMCがなぜデータセンター向けのサービスを提供するのか。それは、「データセンターの中で一番大切なのは、データそのものだからだ」と有安氏。同氏は、「EMCでは3年前から情報インフラストラクチャ戦略を展開しており、その中でもデータの重要性を説いている。だからこそ、われわれがこのサービスを提供するのは大きな意味がある」と語った。