新年明けましておめでとうございます。
……とはいっても、とても祝ってはいられないほどに市場環境は悪化している。金融不況が実態経済への影響を拡大するにつれ、設備投資の一環であるIT投資も確実に減少する。2008年度上期が好調であるIT企業も、実態経済への影響が本格化した下期からは影響を免れていないだろう。そして、2009年度はますます不透明感を強めると言わざるを得ない。私自身も属することとなる所謂SI業界として、この不況期に何をなすべきなのか考えてみたい。
過去を振り返る
SI業界は2000年頃まで続くITバブル期においては、各社ともトータル・ソリューション志向を強め、誰もが上流から下流まで、つまりコンサルティング・サービスから運用サービスまでをサービスラインに加えることにやっきとなった。これは、需要が拡大傾向にあったからこそ出来たことであり、求められるスキルだけでなく、ビジネスモデルすらも異なってくるこれらのサービス群を一企業で提供するのには非常な困難が付きまとう。
結果として、ITバブル崩壊によりその矛盾が噴出し、その後5年間は非常に苦しい時期となる。各社ともトータル・ソリューションを志向した結果、特徴が失われ、案件獲得への指針が不明確となってしまった。そうした中、下落する売上を維持するために、闇雲な案件獲得に走った結果として、各社にて多くの不採算案件が発生する。
その反省を踏まえて、開発リスクの管理を強化すると共に、自社の強みや方向性を明確にしてきたのがここ数年間であったと言える。そして今回の不況は、誰にとっても早く来過ぎた不況であるには違いないが、現実は現実として受入れざるを得ず、これまでに何をして来たかが問われることとなる。