日本でSaaSが普及しないのは徒弟制度のせい?

飯田哲夫(電通国際情報サービス)

2009-03-02 18:30

 先日外国人の方と、老舗の蕎麦屋である虎ノ門砂場へ行った。その古風な外観からいつか行ってみたいと思っていたのだが、機会を得て仕事の後に立ち寄ったのである。その外国人、その店構えを見て、「この建物は本当に旧くからあるのか、それとも、古そうな外観にしているだけなのか」と問う。自分も本当のところは知らなかったが、有名な「砂場」の暖簾だから旧いのだろうと思い、「これは旧くからあるのだ」と言い切ってみた。実際あとから調べてみると、1923年に建てたものらしい。

ビジネスと徒弟制度

 蕎麦を食べながらのその外国人との会話は、老舗の蕎麦屋の話題から、蕎麦や鮨に始まり日本の伝統的な食文化における徒弟制度の話へと展開する。つまり、5年、10年と長く修行を積んで、初めて暖簾分けをして店を出せるようになるのだと。(ここで暖簾分けとフランチャイズの違いを説明するのに非常に苦労する。)

 ところで、こうした徒弟制度は、別にこうした職人の世界だけでなく、一般的なビジネスの領域においてもOJTの名の下に広く日系企業の間には浸透しているものだ。別に5年、10年という時間をかけるほど厳格なものではないし、徐々に崩れてきているものではあるが、責任を持たされるまでに掛かる時間、未だに生き残る年功的な概念などは、日本の徒弟制度的な考えが反映されたものだろう。

 ただ、企業では特定の職ではなく、特定の企業へと最適化が計られて、その企業における独特の業務プロセスや意思決定などを深く理解するようになる。それゆえに、その企業固有のプロセスを支えるシステムは、自前開発が最も適切であり、パッケージを導入する場合も大幅なカスタマイズ要件が発生するはずだ。日本企業に自前開発が多いのも当然である。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]