マイクロソフトは3月30日、学生向けITオリンピック「Imagine Cup 2009」ソフトウェア部門の日本代表選出イベント「The Student Day 2009」を開催した。Imagine Cupは2003年より開催されている世界規模の大会で、2008年は100カ国以上の国から約20万人の学生が参加した。
ソフトウェア部門日本代表の最終選考に残ったのは、昨年度日本代表となった同志社大学の「NIS Lab」をベースに一部メンバーを入れ替えた「NIS Lab++」、同じく同志社大学のチームでNIS Labから刺激を受けて決戦に挑んだ「Mammy」、そして女性のみで構成された国立弓削商船高等専門学校の「White Dolphin」の3組だ。
審査の結果、2009年の日本代表に選ばれたのは、2008年に引き続き同志社大学のNIS Lab++となった。昨年からのメンバーである中島申詞氏、前山晋哉氏、加藤宏樹氏は、「今回は最初から世界大会を視野に入れて取り組んできた。去年の世界大会では1回戦で敗退してしまったが、その悔しさと教訓を生かしてより作品を向上させたい」と声をそろえている。また、NIS Lab++の中で唯一の新メンバーとなる門脇恒平氏は、「日本代表に選ばれたことは素直にうれしいが、現状に満足せず今後世界大会に向けてがんばりたい」と述べた。
Imagine Cupは毎年テーマが決まっており、学生はそのテーマに沿った作品を出品する。2009年のテーマは、国連ミレニアム開発目標に沿ったものとなっており、「極度の貧困と飢餓の撲滅」「普遍的な初等教育の達成」「ジェンダーの平等推進と女性の地位向上」「幼児死亡率の引き下げ」「妊産婦の健康状態の改善」「HIV/エイズ、マラリアなどの疾病の蔓延防止」「環境の持続可能性の確保」「開発のためのグローバルパートナーシップの構築」という8つのテーマが用意された。
NIS Lab++は、普遍的な初等教育の達成をテーマとし、インターネットなどで無償公開されている教科書コンテンツを電子データとして教育現場に配布するシステム「PolyBooks」を発表した。準優勝となったのはWhite Dolphin。White Dolphinは、妊産婦の健康状態の改善をテーマとし、モバイル端末と心電計などを接続して緊急時の通報に対応する妊産婦の健康管理システム「Heatful Assistant」を開発した。3位のMammyは、普遍的な初等教育の達成をテーマとし、世界各国の子供たちが絵本を1ページずつ作成、異文化コミュニケーションを体験しながら国語や算数などを学習するプラットフォーム「Mammy's picture book」を開発した。
審査委員を務めた東京大学 情報理工学系研究科 教授の竹内郁雄氏は、3チームの健闘をたたえながらも、世界大会に向けたアドバイスとしてNIS Lab++に対し、「現在のままではまだ電子ブックに書き込みができる程度。教科書としての発展性により踏み込んで、新しいパラダイムを出してほしい」と述べた。
なお、ZDNet Japanでは今回のイベントにメディアスポンサーとしても参加した。3チームにはそれぞれメディアスポンサー賞が与えられ、ZDNet Japan賞は同志社大学のMammyが受賞している。同チームの光川真由氏は、「学校で学ぶだけでは体験できないことができた。プログラミングの経験はあっても、大きなソフトを開発する機会はあまりなかったし、この最終決戦に向けてどこまでがんばれるか、自分たちの限界にも挑戦できた」と、今大会に参加した意義について語った。