Twitter APIがアキレスの踵になるか

文:Ryan Naraine(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:石橋啓一郎

2009-05-27 08:36

 セキュリティ研究者が、Twitter APIがワーム攻撃に利用される可能性について警告している。

 注目を集めるソーシャルネットワーキング・マイクロブログサービスであるTwitterは、ワーム攻撃を阻止するため、クロスサイトスクリプティングやその他の脆弱性の修正に大急ぎで取り組んでいるが、研究者のAviv Raff氏が指摘するように、Twitterを攻撃するワームを送るためにTwitter APIが「弱いリンク」として悪用される可能性が高い。

 ブラウザとウェブアプリケーションの脆弱性に関する研究で知られるRaff氏は、APIを利用するサードパーティサービス(Twitpicなど)に1つ脆弱性が存在すれば、それが次のTwitterワームの原因になり得ると指摘している。

 (参照:TwitterがXSSワームの複数の亜種に攻撃される

 Raff氏は次のように述べている

 この脅威の例の1つが、私が数週間前にTwitpic.comのウェブサイトで見つけた脆弱性だ。TwitpicはTwitterのプロフィール情報をインポートし、それをTwitpic.comのプロフィールページ上で表示する。twitter.comは(ようやく)Twitterプロフィール情報ページ(名前、URL、略歴などが表示される)のHTMLタグを安全なものにしたが、Twitpic.comはそうできておらず、この問題を悪用してtwitpicのユーザープロフィールページにスクリプトを差し込むことが可能だった。これは非常に単純かつなかなかなくならないXSSで、これを悪用することによって簡単にtwitpic.comのユーザーアカウントを乗っ取ることができる。ところが、twitpic.comはTwitter APIを使い、ユーザーの代理として自動的にtwitterに情報を送ることから、ユーザーが写真や他のユーザーの写真へのコメントをアップロードするごとに、それを利用して簡単にTwitterワームを作り出すことも可能だ。

 (参照:マルウェアの流通に利用されるTwitter

 Raff氏はデモ用の攻撃を作成し、同氏が作成したtwitpic.comのユーザー(twitpicxss)のプロフィールを別のユーザーが閲覧すると、自動的にTwitpic.comの無作為の写真にコメントが付けられてしまうようにした。

 Twitpicサービスにログインしている間にこのプロフィールページを閲覧すると、Raff氏がコメント中に設定した内容が自動的にtweetとしてTwitterに送られる。

 この内容には、ユーザーtwitpicxssのプロフィールへのリンクが含まれており、これを利用して他のユーザーに対してそのリンクをクリックさせ、ワームを広げ続けることも可能だった。

 Raff氏は私に、サードパーティTwitterサービスに存在する別のクロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)の問題も、例として見せてくれた。

 Twitterがアプリケーションとインフラのセキュリティを専門とするソフトウェアエンジニアを探していることは、最初の一歩としては非常によいものだが、APIの使われ方にまでセキュリティが確保されない限りは、同サービスは今後もワームの餌食になり続けるだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  2. セキュリティ

    サイバー攻撃の“大規模感染”、調査でみえた2024年の脅威動向と課題解決策

  3. セキュリティ

    従業員のセキュリティ教育の成功に役立つ「従業員教育ToDoリスト」10ステップ

  4. セキュリティ

    IoTデバイスや重要インフラを標的としたサイバー攻撃が増加、2023年下半期グローバル脅威レポート

  5. セキュリティ

    急増する工場システムへのサイバー攻撃、現場の課題を解消し実効性あるOTセキュリティを実現するには

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]