What's up, man?
Barack Obama氏が米国大統領に就任して以来、書店にはObama氏の演説を題材にした英語教材があふれいます。「Yes, we can !!」の力強い声を聞きながら、心の中で「No, I can't……」とつぶやいた人もいるかもしれません。英語の演説ですからね。
でも、気にすることはありません。生の英語を取り入れてビジネスに活用するにあたって、多くの場合Obama風の英語は逆効果だとあえて言いたいと思います。そもそも高度すぎるし、日本人のカルチャーに合わないのです。ギターを弾き始めたばかりのビギナーが、いきなりYngwie Malmsteenの高速テクニックを練習するようなものです。まずは焦らず、基本をおさえましょう!
今回ZDNet Japan編集部に、大手電機メーカーにお勤めの男性(40代)からこんな相談のメールが届きました。
「私は母国語でもあまり口数が多いほうではないのですが、英語の会議で外国人がものすごいスピードで話しているのに圧倒されて困っています。グローバルで活躍している人は、母国語も含め話すスピードが飛びぬけて速いと思っています。エリックさんの講演を拝聴すると、やはり日本語のスピードが速いと感じました。何か有効的な訓練方法はないでしょうか」
英語コンプレックスが名演説の幻想を作り出す
会議に出席していると、時々やたらと話が長い人っていますよね。どうでもいい話を延々と話す人です。もしアメリカ人が同じように延々と話し始めるとどう感じますか? あら不思議、翻訳すればどうでもいい話が、英語だと名演説に早変わり。そして、目の前で英語をまくし立てられた日本人は自信をなくしてしまいます。でも、そこで自信をなくす必要はありません。
グローバル企業で働いていると、とにかく電話会議が多くなります。そんな中で長い会議をよく思い返してみると、意外と内容がないことも多い。これは日本企業でも同じです。基本的にポイントを押さえれば、そんなに長々と話す必要はないのです。長々と演説している外国人がいたら、きっと内容が薄いんだと思って下さい(笑)。
名演説の幻想から脱却するには?
では、英語での演説がすべて名演説に聞こえてしまうこの幻想から脱却するにはどうすればいいのでしょうか?
まず話していることをそのまま受け取ることから始まります。つまり日本語で話されているのと同じ状況にするのです。具体的な方法としては、会議の録音とディクテーション(書き取り)です。時間はかかりますが、結果的に話していることを理解する一番の方法です。また、録音できない場合は、自分で書き取れる最大限のメモと英語のできる日本人のメモを付き合わせたり、内容についてのディスカッションをすることも有効です。ただ、この場合は英語のできる人に頼りがちになってしまうので、英語を聞き取る力はあまり上昇しません。だからこそディクテーションが役に立つのです。ディクテーションをすれば、ぐんぐんリスニング能力が上がります。
手前味噌ですが、コンサルタントは新人の時に徹底的に議事録の書き方でたたかれます。これは日本語でも同じ。議事録で何が鍛えられるかといえば、結論と結論を支える説明のロジックです。綿密に議事録を取ることによって、素晴らしい話者と悪い話者がわかるようになり、素晴らしい話者のノウハウを吸収し、自分が話す時に生かせるのです。