開発者が振り返るTOMOYO Linuxのメインライン化 - (page 3)

富永恭子(ロビンソン)

2009-06-12 21:51

越えるべきハードルはあまりにも多く……

 Linuxの門は常に開かれている。公式のLinuxカーネルの最終的な調整役であるLinus Torvalds氏は、「Linuxは多様性を求める」と明言している。しかし、その中に正式に加わるには、越えるべき多くのハードルがあった。

 一方でLinuxの論理は明確だ。いいものは受け入れ、よくないものは受け入れない。しかし、何をよしとするか、明文化されたものは存在しなかった。

 Linuxのカーネルの提案は、LKMLと呼ばれるメーリングリスト上で行われる。5000人を越す購読者を有するこの巨大メーリングリストで、提案は徹底的に検討され、議論される。

 TOMOYO Linuxのメンバーにとって、コミュニティという目に見えない存在に戸惑いながら、メインラインをめざす日々が続いた。

半田哲夫氏 半田哲夫氏

 「当初はSELinux向けの設定を生成することも試みましたが、SELinuxがパス名による指定をサポートしない理由を当時は知りませんでした。2006年になって、AppArmorというTOMOYO Linuxとよく似たものが提案され、激しい口論が展開されました。その口論の中で、SELinuxがパス名による指定をサポートしない理由を知りました」(半田氏)。

 その後も、TOMOYO LinuxはLKMLで何度も「パス名によるセキュリティは無意味だからやめろ」と言われ続けた。

 「しかし、『パス名によるセキュリティにしか実現できないこともある』という事実を見つけてからは、『意地でもやめるものか』と思った」と半田氏はいう。

 問題はどうやってその事実を伝えるか、だった。

 次回はメインライン化を受けた開発者のコメントを紹介したい。

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