日立製作所は、7月22、23日の2日間、東京・有楽町の東京国際フォーラムにおいて、プライベートイベント「日立 uVALUEコンベンション2009」を開催している。その初日に行われた基調講演では、日立製作所 執行役副社長である高橋直也氏、執行役専務 情報・通信グループ長&CEOである中島純三氏が登壇。「協創で挑むイノベーション 〜明日の社会とビジネスのために〜」をテーマに講演を行った。
現在を「環境と情報とエネルギーの世紀」ととらえる日立製作所は、創業以来、電力、電機、産業、交通、情報など、広範な事業を通じて社会のイノベーションに貢献してきた。基調講演では、そうした実績をもとに、最先端のITを軸として、さまざまな技術を融合させたビジネスクラウド、環境配慮型データセンタ、また、スマートグリッドといった新事業への取り組みを紹介し、新たな社会イノベーションに挑む同社の姿を示した。
冒頭、高橋氏は、「社会インフラを見直すことで、経済的価値を高めながら、環境対応が可能な全体最適への取り組みにつながる」とし、「社会インフラにも革新が求められている。日立は、そのために、電力システム、環境・産業・交通システム、社会・都市システム、情報通信システムを、それぞれ融合することが必要であると考えている」などとした。
これまで別々に考えられてきた「情報」と「制御」を連携させることで、より豊かな社会を実現するインフラが生まれることを、交通分野における情報と制御やサービスとの融合、あるいはエネルギー分野におけるスマートグリッドへの展開などを通じて説明。また、生活の中でも、商品の交換寿命に合わせて新たな商品が届いたり、最寄りの産地から新鮮な食材を入手したりといったことが可能になり、安心、安全で、面倒から解放される世界が到来することなどを示した。
そして、新たな社会インフラに求められる要件としては、「シームレスであること」「ユニバーサル/パーソナライズ」「リーズナブル」のほか、「柔軟性」「安定性」「高効率」が求められるとした。
「これを実現できるのは、日本のものづくりであり、これをグローバルに展開することで社会に寄与できる」(高橋氏)
また、高橋氏は、日立が、6つのコーポレート研究所を核に持ち、信頼性、安全性が高いモノづくりが行える世界有数の企業であることを訴えた。そうした研究活動における成果として紹介されたのが、膨大なデータから意味を見いだし、最適な回答を見つけだす知識化基盤「KaaS(Knowledge as a Service)」である。
KaaSの活用例として挙げられたのは、さまざまなデータを組み合わせて実現される、より合理的な道路交通システムだ。蓄積された自動車の流れをまとめたプローブデータと、天候情報、イベント情報などを組み合わせることで、渋滞が最も緩和されるパイパスの設置や信号制御の最適化、作る道路の優先度などが決定でき、結果としてスムーズな道路の設置が可能になるという。
高橋氏は、「社会イノベーションが進めば、協創が生まれる。そこに日立の役割がある」と、自らの講演を締めくくった。