マイクロソフトは7月28日、同社の環境戦略について発表した。
同社では、全世界でマイクロソフト製品の売上高に対するCO2排出量を、2012年までに、少なくとも30%削減(2007年比)するほか、ソフトウェアと技術革新の力を利用し、自社の環境への取り組みを強化するとともに、世界中の個人や企業の環境保護活動を支援する方針を打ち出した。
また、これらの目標達成のため、オフィスビル管理におけるエネルギー効率の向上、航空機による出張の削減、再生可能エネルギーの利用促進などに取り組むとともに、ソフトの提供方法や製造工場における環境配慮など、事業活動のサプライチェーン全体において環境負荷活動削減に取り組んでいく考えだ。
「マイクロソフトは、高いプライオリティのもと、環境活動に取り組むことを全世界でコミットしている。ソフトウェア企業ならではの環境への取り組みや、ソフトウェアを活用した環境活動に取り組んでいく。2012年度に30%のCO2を削減するという目標は、CEOであるSteve Ballmerが全社員向けメールで示したもの。チャレンジングな目標であるが、意欲的に取り組んでいく」(マイクロソフト、法務・政策企画統括本部政策企画本部の竹原正篤氏)とした。
具体的には、「ITを活用したエネルギー効率の向上」「技術的進歩の礎となる研究開発」「環境に対する責任ある企業活動」の3つの柱をもとに、持続可能な環境への取り組みをテーマとして、すべての環境への取り組みをパートナーシップを通じて推進するとした。
キーワードとしては、ソフトウェアによる直接的なエネルギー削減を実現する「Green of IT」、ソフトウェアによるイノベーションとして、「Green by IT」を掲げるという。
製品における環境への貢献
「ITを活用したエネルギー効率の向上」では、Windowsなどのプロダクトによる環境貢献がある。
Windows Vistaでは「ハイブリッドスリープ機能」を搭載しており、「PCを使わないときに、いかに電力を使わずに済むか、それでいて、いかに早く復帰できるかといったことに配慮した機能。これを活用することで、CO2排出量は年間で2分の1トンの削減が可能であり、PC6台では1エーカー分の植林効果、PC10台では米国産の自動車1台分のC02削減効果になる」(マイクロソフト、業務執行役員最高技術責任者の加治佐俊一氏)という。
また、Windows Server 2008についても、消費電力の削減効果があるとする。Windows Server 2008を導入した「新潟ポリマー」では、Hyper-Vを活用することで、サーバ集約において、80%の電力消費が可能になったという事例を公表した。具体的には、サーバの電力使用量が1400wだったものが、160wにまで削減できたという。
「仮想化によって、平均的なサーバの使用電力効率を5倍以上にできる。サーバの仮想化によって、どれだけ環境負荷が低減できるのかといった試算が可能なツールを提供することで、環境に対するユーザーの意識を高めていくことができる」(加治佐氏)
2009年10月に東京・大手町に開設する「マイクロソフト大手町テクノロジーセンター」を活用して、エンタープライズユーザーに対する環境・グリーンITソリューションを提案していくという。
Windows 7で改善された消費電力削減機能
10月22日に発売されるWindows 7においても、低消費電力化における改善が行われている。
新たな電源管理機能や強化されたポリシー管理製品の活用による電源設定の標準化の実現、Wake On LANを活用した電源オン時間の削減とデスクトップ管理作業の効率化が可能になるとする。
「電源オプションの設定により、30分使用しない場合には自動的にスリープモードとする設定や、システム管理者が会社全体でポリシー管理する場合にはActive Directoryで一括で設定することができるようになっている。DVDを再生した場合でもバッテリの持続時間は、従来のOSに比べて、約10%の改善が行われており、動いていないときにいかに電力を使わないか、また、動いている時には、いかに省エネするかといった観点からの改善を図っている」(加治佐氏)
また、Windows 7では、現在の電源設定が効率的なものになっているかどうかを自動的に分析し、レポート化するために、パワーコンフィグツールにエネルギーオプションを新規に追加したという。