Adobe Systemsは米国時間9月10日、「CinemaDNG」というファイル形式のベータ版を公開した。同社は、CinemaDNGがハイエンドなデジタル動画の処理を簡素化し、動画の品質を向上することを期待している。
Adobeは、「Photoshop」を発売する一方で「DNG」(Digital Negativeの略)というスチルカメラ用技術を開発しており、標準化による採用の拡大を目指しているが、CinemaDNGはこの技術を取り入れて動画に応用したものだ。
一眼レフなどの高品位カメラでは、DNGはイメージセンサからRAWデータを記録し、カメラ内で処理を行わない。これはつまり、圧縮アーティファクト(圧縮により発生する品質の変化)がなく、シャープネスやコントラストといったフィルタも適用されないということだ。また、8ビットのJPEG画像に変換するために、より高画質な12ビットや14ビット、さらには16ビットのデータが捨てられてしまうこともない。こうした柔軟性と高品質の欠点は、閲覧できるようにする前に画像を処理する必要があることだ。
Adobe Labsの説明によれば、動画におけるCinemaDNGの役割は静止画におけるDNGのそれと似ていて、AdobeがプロプライエタリなRAWデータ形式の代替手段を提供することを目指している点も一致する。
CinemaDNGを支持している他の企業は、Fraunhofer IIS、Gamma & Density、Ikonoskop、Indiecam、Iridas、MXF4mac、RadiantGrid Technologies、Synthetic Aperture、The Foundry Visionmongers、Vision Research、およびWeisscamだ。
Adobeは、自社の動画編集ソフトウェアでCinemaDNGファイルをインポートできるようにするプラグインもリリースした。
Adobeは、アムステルダムで開催された国際放送展「IBC 2009」における一連の発表の中でこう述べた。「Adobeおよび他の参加企業はすでにCinemaDNGの仕様を最終決定し、Adobeは『Adobe After Effects CS4』および『Adobe Premiere Pro CS4』用のCinemaDNGプラグインを開発した。これらのプラグインはAdobe Labsからオンラインで入手できる」
Adobeはまた、台本執筆用ツール「Adobe Story」のベータテストを開始したことも発表した。
Adobeはさらに、オンラインビデオの鑑賞を許可するユーザーやデバイスを設定できるデジタル権利管理技術「Flash Access 2.0」を発表した。「Flash Access 2.0は今回、出力保護機能をサポートしている。これにより、コンテンツ提供者がアナログおよびデジタル出力を保護する要件を指定できるようになり、不正な録画に対する保護手段を追加できる」(Adobe)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ