フォーティネットジャパンは10月14日、新たに日本法人のカントリーマネージャーに就任した新免泰幸氏による事業戦略説明会を開催した。
新免氏は、「ミッドレンジおよびローエンドUTMのセキュリティ最適化」「ハイエンドセキュリティの市場定義」「エンドツーエンドセキュリティ」の3点を同社の成長エリアとして掲げた。
ミッドレンジおよびローエンドUTMは、同社の中核事業として国内でも広く認知されている分野だ。新免氏は「現在のシェアを維持し、さらに成長を図っていく」とし、そのための取り組みとして「ログの管理が重要になる」とした。
フォーティネットのラインアップでは、ログ管理のためのソリューションとして既に「FortiManager」「FortiAnalyzer」という製品が存在するが、経済状況の影響もあって中小企業での新規投資意欲は高くはなく、導入が進んでいない。そこで同社では、UTMと連携するクラウドサービス「FAMS」(FortiGuard Analysis and Management Service)をSaaS形式で提供開始する。FAMSは、同社が運営するデータセンターで稼働するサービスで、ユーザーサイトに対して「攻撃、トラフィック分析」「設定バックアップ、ファームウェア更新」「レポート機能」などを提供する。初期コストを抑えつつ充実したログ管理機能を提供する戦略だ。
次に、ハイエンド市場に向けた取り組みについて新免氏は、「UTMはハイエンド(大規模環境)でも使えるのか? という議論があった」とし、特に日本では「UTMは中小規模向けのソリューション」だとする見方が強いという認識を示しつつも、「新たに出現した脅威に対して“ワンポイントセキュリティ群”を追加する形で対処するのは限界がある」と話す。
現在のセキュリティ侵害は、スパムメールでユーザーを悪意あるサイトに誘導し、そこでマルウェアを送り込むという複合的な手法を採るようになっている。これに対して同社のUTMではさまざまなセキュリティ技術を複合的に盛り込んでおり、「複合的な脅威に対して複合的に対応する」(新免氏)形となっているため、ハイエンド環境でも有効なソリューションだという。ワールドワイドはもちろん、国内のユーザーでも大規模環境で同社のソリューションを活用している事例が増えてきているといい、今後はハイエンド市場開拓のためにこうした事例も積極的に紹介していくという。
最後に、エンドツーエンドセキュリティに関しては、同社の中核製品である「FortiGate」がネットワークの入口で保護するゲートウェイ製品であることもあってまだ認知が低い状態だが、同社ではクライアント保護のための「FortiClient」、データベース保護の「FortiDB」、ウェブアプリケーションサーバ保護の「FortiWeb」など、レイヤごとのセキュリティ対策を揃え、エンドツーエンドでの保護を既に実現している。新バージョンとして「FortiDB 4.0」と「FortiClientエンドポイントセキュリティ4.1」も合わせて発表され、さらに市場開拓に取り組んでいく方針だ。
新免氏は、今回掲げた3本柱の事業戦略に関して、「現時点で売上規模が最も大きいのは中小企業向けのUTM市場だが、成長率という点ではさほど大きな期待はできない。今後成長率が最も大きくなるのはまずハイエンド市場で、その後エンドツーエンドソリューションが成長してくるだろう」との見通しを明らかにした。