評価にはいろんな「エラーの素」がある
経営人材研究所代表で、経営と人材に関する著書も多い金井壽宏氏は、人が人を評価することについて「誤りのない評価などあり得ない、と思い込んでしまっているとすれば、実際に不正確な評価が蔓延してしまうことになる」と指摘している。
このような現象のことを「自己成就的予言」と呼ぶそうだ。「評価には誤りがあり、その誤りは避けられない」という思い込みや仮説が、実際に誤りを生み出し「正確な評価など無理」との思い込みを肯定していくサイクルのことを言う。
大切なことは、評定誤差(バイアス)など、エラーの原因となる要素を知ることだ、と金井氏は指摘している。そこで、よく知られている評定誤差(rating errors)を、ここで紹介しておこう。
確かに、マネージャーには自分の部下の評価を甘くする傾向があるようだ。日常、マネージャーは目標を達成させるために部下を励まし、やる気を出させようと努めている。一方、評価する場面になると冷静かつ客観的に評価することを求められる。部下の欠けている点をズバリと指摘しなければならない。
こうした行為は、マネージャーにとって継続してきたコミュニケーションの努力を台無しにしてしまう危険性がある。そのために採点が甘くなりがちになると考えられる。評価にはバイアスが存在することを、あらかじめ認識しておくことが重要だ。